コンクリートにおけるセメント代替としての都市ごみ焼却底灰の長期的な機械的・環境的性能
Long-term mechanical and environmental performance of municipal solid waste incineration bottom ash as a partial cement replacement in concrete
コンクリートの脱炭素化は持続可能な建設における喫緊の課題であり、都市ごみ焼却底灰(MSWBA)はセメントの部分的代替材としての利用が期待されている。本研究では、MSWBAをセメントの一部として使用したコンクリートの長期的な機械的性能と環境的影響を評価した。5種類のMSWBAサンプル(B1-B5)のうち、B3とB5を選択し、セメント代替率10%および20%で、未処理および機械活性化処理した形態でコンクリートに配合した。結果として、性能はMSWBAの種類と代替率に大きく依存し、10%代替でより良好な性能を示した。一方、20%代替では圧縮強度の低下が大きかった。環境面では、セメント代替により、管理コンクリートと比較して、10%代替で9.45%、20%代替で19.27%のCO2排出量削減が達成された。溶出試験では、Al、Ba、Cr、Mo、塩化物イオンの放出増加が確認されたが、個々の物質濃度は評価限界値を下回った。本研究は、適切なMSWBAサンプルの選択と利用により、コンクリートの脱炭素化に貢献できることを示した。
- 都市ごみ焼却底灰(MSWBA)をセメント代替材として用いたコンクリートの長期機械性能・環境影響を評価した研究。5種のサンプル(B1-B5)からB3・B5を選定し、代替率10%・20%、未処理および機械活性化処理で配合した。
- セメント代替により管理コンクリート比でCO2排出量を10%代替で9.45%、20%代替で19.27%削減。ただし20%代替では圧縮強度の低下が大きい。
- 溶出試験でAl、Ba、Cr、Mo、塩化物イオンの放出増加が確認されたが、個々の物質濃度は評価限界値を下回った。
セメント代替材は建設分野の脱炭素の主要レバーであり、都市ごみ焼却底灰(MSWBA)で10%代替時にCO2を9.45%削減できるという定量結果は、廃棄物処理と建設材料をまたぐ事業機会の大きさを示す。ただし20%代替では圧縮強度が大きく低下し、溶出試験でもAl・Ba・Cr・Mo・塩化物イオンの放出増加が確認されているため、実用化のカギはサンプル選別と機械活性化などの前処理技術、そして環境規制への適合性にある。研究段階のデータであり直ちに特定企業の業績に結びつく話ではないが、セメント大手や廃棄物処理・リサイクル企業のCO2削減ロードマップと技術提携の動向を追う上での判断材料になる。