低炭素・リサイクル粉末系バインダー:工学的特性、炭素隔離ポテンシャル、リサイクル性
A Low-Carbon, Recycled Powder-Based Binder: Engineering Properties, Carbon Sequestration Potential, and Recycling
本研究では、リサイクルコンクリート粉末(RCP)の高付加価値利用と炭素隔離ポテンシャル向上を目指し、RCP、シリカフューム(SF)、高炉セメント(GBFS)、フライアッシュ(FA)を配合した低炭素リサイクル粉末系バインダー(LCRPB)を開発した。5因子5水準の直交配置により、作業性、機械的特性、水和挙動、湿式炭酸化性能、炭酸化後の再利用性を評価した。水和材比は流動性と圧縮強度への影響が最も大きく、RCP含有量は28日曲げ強度と湿式炭酸化挙動への影響が大きかった。適切な配合量では、SF 2%、GBFS 7.5%、FA 10%が28日圧縮強度をそれぞれ17.43%、12.43%、11.83%向上させた。湿式炭酸化は、液固比5、CO2流量3 L/minで最も効率が高く、炭酸化生成物は主に炭酸カルシウム(CaCO3)であった。炭酸化粉末は再利用の可能性を維持した。マトリックス分析により、W/B = 0.40、SF 0%、GBFS 7.5%、FA 10%、RCP 10%のバランスの取れた配合が特定された。この配合は、100% OPC基準と比較して、材料関連のカーボンフットプリントを26.6%削減した。
- リサイクルコンクリート粉末(RCP)、シリカフューム(SF)、高炉セメント(GBFS)、フライアッシュ(FA)を配合した低炭素リサイクル粉末系バインダー(LCRPB)を開発し、5因子5水準の直交配置で作業性・機械的特性・水和挙動・湿式炭酸化性能・炭酸化後の再利用性を評価した
- SF 2%、GBFS 7.5%、FA 10%の適切な配合で28日圧縮強度がそれぞれ17.43%、12.43%、11.83%向上した
- 湿式炭酸化は液固比5、CO2流量3 L/minで最も効率が高く、炭酸化生成物は主に炭酸カルシウム(CaCO3)で、炭酸化粉末は再利用の可能性を維持した
- W/B=0.40、SF 0%、GBFS 7.5%、FA 10%、RCP 10%のバランス配合が特定され、100% OPC基準比で材料関連カーボンフットプリントを26.6%削減した
セメントは世界のCO2排出の一大要因であり、低炭素バインダーの研究は規制・炭素価格の両面で影響が大きい領域。本研究はRCP・SF・GBFS・FAという既存の副産物・廃棄物を組み合わせ、100% OPC比で材料由来カーボンフットプリントを26.6%削減しつつ28日圧縮強度を最大17.43%改善、さらに湿式炭酸化による炭素隔離と炭酸化粉末の再利用性まで示した点が実務的。ただし論文段階の配合最適化であり、事業化・スケール時のコストや規格認証は未確認。セメント/建設資材各社の脱炭素ロードマップやGBFS・FAの調達安定性、カーボンクレジット化の動向と併せて注視したい。