長鎖ノンコーディングRNA Dreg1はILC2の最適な発達に必要
The long non-coding RNA Dreg1 is required for optimal ILC2 development
Gata3はT細胞、NK細胞、ILC(自然リンパ球)などの免疫細胞の発生に不可欠な転写因子である。今回、Gata3遺伝子座の近傍に位置するノンコーディングRNA「Dreg1」が、ILC2(グループ2 ILC)の発生に重要であることがマウスを用いた実験で示された。Dreg1遺伝子座を欠損させたマウスでは、複数の組織でILC2が選択的に減少したが、他の免疫細胞の発生には影響がなかった。骨髄においては、ILCP(ILC前駆細胞)が増加し、ILC2P(ILC2前駆細胞)が減少した。Dreg1は初期のリンパ球前駆細胞でアクセス可能であり、ILCPにおいてTcf1依存的にH3K27acで修飾されることが示された。Tcf1欠損細胞ではDreg1が発現せず、Dreg1遺伝子座のエピジェネティックな構造に変化が見られた。さらに、ヒトILC2でもDreg1のホモログが高発現していることが発見された。これらの結果から、Dreg1はTcf1依存的なノンコーディングRNAであり、ILC2系統の最適な発達に必要なGata3の高レベル発現を微調整するために重要であると結論付けられた。
- マウスを用いた実験で、ノンコーディングRNA Dreg1がILC2の発達に必要であることが示された
- ヒトILC2でもDreg1のホモログが高発現していることが発見された
本研究成果は、ノンコーディングRNA「Dreg1」がILC2(グループ2自然リンパ球)の発生に必須であり、アレルギーや炎症性疾患の制御に関わる免疫細胞の分化メカニズムに新たな光を当てる基礎的発見である。現時点ではマウスモデルでの基礎研究段階であり、創薬や治療応用には長期的な検証が必要だが、ILC2を標的とした新規免疫調整薬の開発に繋がる可能性がある。アレルギー・喘息・アトピー性皮膚炎などのTh2型免疫疾患に対する新たな介入点として、創薬スタートアップや免疫学研究に取り組む企業にとって将来的なシーズとなり得る。