Hugin-AstA回路はショウジョウバエとマウスの甘味感覚を直接調節する新規中枢エネルギーセンサーである
Hugin-AstA circuitry is a novel central energy sensor that directly regulates sweet sensation in Drosophila and mouse
ショウジョウバエの脳において、内部エネルギー状態を直接感知し甘味感覚を調節する新規神経回路が特定された。具体的には、huginを発現する神経細胞群がグルコーストランスポーターGlut1とATP感受性カリウムチャネルを介して循環グルコースレベルの上昇を直接検出し、huginペプチドを放出してAllatostatin A (AstA)陽性神経細胞を活性化する。さらに、AstA陽性神経細胞はAstAペプチドを介して甘味受容体Gr5a陽性神経細胞の甘味感覚を直接抑制する。哺乳類におけるhuginの相同体であるNeuromedin U (NMU)も、甘味感覚を抑制するエネルギーセンサーとして機能することが示された。これにより、hugin陽性神経細胞は種を超えて甘味感覚を調節するグルコース応答性の中枢エネルギー感知モジュールであることが同定された。
- ショウジョウバエのhugin陽性神経細胞がグルコースを直接感知し、AstA陽性神経細胞を介して甘味感覚を抑制する新規回路が同定された
- 哺乳類のNeuromedin U (NMU)がショウジョウバエのhuginと同様に甘味感覚を抑制するエネルギーセンサーとして機能することが示された
本成果は、生物のエネルギー状態と味覚を直接結びつける新規の中枢神経メカニズムを発見した基礎生物学上の重要な進展である。特に、ショウジョウバエで同定されたhugin-AstA回路が哺乳類のNeuromedin Uにおいても保存されていることを示した点は、ヒトの食欲調節や代謝疾患(肥満・糖尿病)治療への応用可能性を示唆する。ただし、現時点は基礎研究段階であり、創薬や治療法開発には長い時間を要する。投資観点では、本知見を基盤とした食欲調節薬や代謝改善薬のシーズ開発を行うスタートアップの動向に中長期的に注目したいが、当面は具体的な投資機会には直結しない。