マラリア原虫のアピコプラスト生合成に必須なアシルキャリアタンパク質、脂肪酸合成とは独立した機能を持つ
Acyl carrier protein is essential for apicoplast biogenesis in malaria parasites independent of fatty acid synthesis
マラリア原虫(Plasmodium falciparum)において、アシルキャリアタンパク質(ACP)は、脂肪酸合成(FASII)とは独立してアピコプラストの生合成に必須であることが明らかになった。血球段階の原虫ではFASII経路は不要だが、ACPのノックアウトまたはノックダウンは致死性を示した。これは、ACPが必須のイソプレノイド前駆体の生合成を阻害し、アピコプラストの生合成をブロックするためである。さらに、ACPはアピコプラスト内のピルビン酸キナーゼII(PKII)の結合と安定化に重要な役割を果たしており、PKIIはイソプレノイド合成とアピコプラスト生合成に必要とされる唯一のヌクレオシド三リン酸(NTP)供給源である。ACPの減少はPKIIの不安定化と喪失を引き起こし、これがACPの必須性を説明する。
- マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の血球段階ではFASII経路は不要だが、ACPのノックアウト/ノックダウンは致死性を示し、ACPがアピコプラスト生合成に必須と判明
- ACPの減少はピルビン酸キナーゼII(PKII)を不安定化・喪失させ、イソプレノイド前駆体合成とアピコプラスト生合成をブロックする
- PKIIはアピコプラスト内でイソプレノイド合成に必要な唯一のヌクレオシド三リン酸(NTP)供給源であり、ACPはPKIIの結合と安定化に寄与する
マラリア原虫のアピコプラスト形成に必須なACPが脂肪酸合成とは独立した役割を担い、PKIIの安定化を介してイソプレノイド前駆体供給を支えているという発見は、既存のFASII阻害とは別系統の抗マラリア薬ターゲット(ACP–PKII相互作用)を提示する。耐性対策が急務な感染症領域で新規モダリティ候補になり得るため、創薬パイプラインや標的探索を手掛ける企業・研究機関にとって注視材料となる。