高性能リチウムイオン電池向けに塩化ナトリウム塩を用いて調製された階層的多孔質ポリイミドセパレータ
Hierarchical Porous Polyimide Separator Prepared by Sodium Chloride Salt for High-Performance Lithium Ion Batteries
リチウムイオン電池の安全性向上を目的として、ポリイミド(PI)セパレータ材料が提案・作製された。ポリアミド酸(PAA)前駆体に塩化ナトリウム(NaCl)をテンプレートとして導入することで、均一な海綿状の細孔構造を持つPIベースのセパレータが作製された。このPI-NaClセパレータは、250°Cの高温でも寸法安定性を維持し、優れた熱安定性を示す。また、細孔構造により電解液の濡れ性が高く、接触角は約0°に近づく。イオン伝導性も高く、リチウム金属との界面副反応を抑制し、リチウム対称セルで安定したストリッピング/プレーティングサイクルを実現した。LiFePO4||Cフルセルでは、良好なレート性能とサイクル安定性を示した。さらに、80°Cの高温下での開放電圧(OCV)試験では、8時間連続して電圧が安定した。
- NaClテンプレート法を用いた多孔質ポリイミドセパレータが開発され、250°Cの熱安定性と80°C高温OCV安定性が実証された
本記事はリチウムイオン電池の安全性と性能を両立する新規セパレータ材料の開発成果である。NaClという極めて安価な材料をテンプレートに用いて多孔質ポリイミドセパレータを実現した点は、製造コスト面での実用化可能性を示唆する。250°Cでも寸法安定性を維持する熱安定性と、80°C高温下で8時間安定したOCVを確認できた点は、EVや定置型蓄電システムにおける熱暴走リスク低減に直結する。LiFePO4系フルセルでの良好なレート性能・サイクル特性も確認されており、固体電池ほどのコスト増を伴わずに安全性を一段階引き上げられる可能性がある。ただし、あくまで実験室レベルの成果であり、量産工程でのNaCl除去の完全性評価や実際のセルパックレベルでの効果検証が次のマイルストーンとなる。