UniDesignを用いたPAM緩和型黄色ブドウ球菌Cas9の完全計算設計と標的化能力の拡大
Fully computational design of PAM-relaxed Staphylococcus aureus Cas9 with expanded targeting capability using UniDesign
黄色ブドウ球菌Cas9(SaCas9)は、そのコンパクトなサイズからin vivo応用で魅力的だが、NNGRRTというPAM配列の制約があった。今回、KRHというSaCas9の変異体が、実験的最適化なしに、完全計算によるポイント変異設計ワークフロー「UniDesign」を用いて野生型から設計された。KRHはNNNRRTという拡張されたPAM配列を効率的に認識し、非標準PAMサイトでの編集効率が野生型と比較して最大116倍向上した。計算モデリングにより、KRHとKKHの両方で見られるPAM緩和のメカニズムが解明され、KRHはPAM特異的相互作用とDNAバックボーンとの非特異的接触のバランスを微調整することでPAM特異性を緩和することが示された。このアプローチは、計算設計がnuclease活性を維持しながらPAMインターフェースを再構築するのに十分な最小限の変異セットを特定できることを示しており、ハイスループットCas9エンジニアリングのためのスケーラブルな戦略を提供する。
- UniDesignを用いて、実験的最適化なしに黄色ブドウ球菌Cas9の完全計算設計変異体KRHが開発され、PAM配列の制約が緩和され標的化能力が拡大した
CRISPR遺伝子編集において、SaCas9はサイズが小さくin vivo応用に適しているものの、NNGRRTという厳格なPAM配列制約が標的範囲を狭めていた。本成果は、実験的なスクリーニングを一切行わず、計算設計ワークフロー「UniDesign」だけでPAM制約を大幅に緩和した変異体を設計した点が画期的。非標準PAMサイトでの編集効率が最大116倍向上しており、ゲノム編集の適用範囲拡大につながる。計算設計によるタンパク質エンジニアリングの有効性を示す重要なマイルストーンであり、CRISPR関連スタートアップや遺伝子治療企業の技術競争力に影響し得る。