ナノSiO2改質模擬月壌ベースジオポリマーの複合アルカリ活性剤最適化による持続可能な月面建設への道筋:巨視的・微視的構造特性評価
Toward Sustainable Lunar Construction: Optimization of Composite Alkali Activators for Nano-SiO2-Modified Simulated Lunar Soil-Based Geopolymer with Macro- and Microstructural Characterization
本研究では、地球から輸送されるアルカリ活性剤への依存が持続可能性の課題となっている月壌ベースジオポリマーに対し、ナノSiO2を改質した模擬月壌ベースジオポリマー(NS-SLSG)を開発した。水酸化ナトリウム(SH)、水酸化カルシウム(CH)、ケイ酸ナトリウム(SS)の最適化により、アルカリ活性剤の要求量を削減した。ICP-AES、直交試験、FT-IR、XRD、SEM、TG-DSC-DTG、EDS、MIPなどの分析手法を用いて、元素放出特性、流動性、機械的特性、微細構造を評価した。実験結果によると、SH添加量はAlとSiの濃度に特に影響を与え、流動性にはSHとSSが、機械的性能にはSHとCHがより大きな影響を及ぼした。0.75 wt.%のNS添加により、配合総質量が23.9%削減され、圧縮強度と曲げ強度はそれぞれ26.0%と19.5%向上し、36.15 MPaと8.26 MPaに達した。微細構造解析からは、SHが脱重合を促進し、CHがCa2+を介した重縮合を強化する可能性が示唆され、ゲル組成と細孔構造に変化が見られた。これらの結果は、月面建設材料の資源効率を向上させる実行可能な戦略を示している。
- ナノSiO2改質模擬月壌ベースジオポリマー(NS-SLSG)を開発し、水酸化ナトリウム(SH)・水酸化カルシウム(CH)・ケイ酸ナトリウム(SS)の複合アルカリ活性剤を最適化した
- 0.75 wt.%のナノSiO2添加により配合総質量を23.9%削減、圧縮強度26.0%増(36.15 MPa)・曲げ強度19.5%増(8.26 MPa)を達成
- SHはAl・Siの元素放出と流動性に、SHとCHは機械的性能に強く影響し、SHが脱重合、CHがCa2+を介した重縮合を促進する機構をICP-AES・FT-IR・XRD・SEM・MIP等で解析した
月面建設というとロケットや衛星が注目されがちだが、本件は「輸送コスト」という本質的なボトルネックに切り込む研究。地球からアルカリ活性剤を運ぶ依存を減らし、配合総質量を23.9%削減しつつ圧縮強度36.15 MPaを確保した点は、月面インフラの物量・コスト構造を変え得る。現地資源利用(ISRU)型建材は、将来の月面基地計画における調達・輸送費の前提を崩す要素であり、宇宙インフラ関連企業や各国宇宙機関の建設コスト試算に波及する。ただし本段階は模擬月壌での実験室成果であり、実月壌・真空・温度差環境での検証やスケールアップは未解決で、商用化までの距離は大きい。短期的な業績インパクトはなく、長期的な技術オプションとして評価すべき内容。