ドレイン電流ストレス下におけるデプレッションモードGaN HEMTのトラップダイナミクスと長期信頼性
Trap Dynamics and Long-Term Reliability in Depletion-Mode GaN HEMTs Under Sequential Electrical Stress
本研究では、デプレッションモードGaN-on-SiC HEMTにおけるしきい値電圧(VTH)、オン抵抗(RDS)、ゲートリーク電流(IGS)の長期的な電気的安定性に影響を与える電荷トラップについて、電気的ストレス下での経時変化を系統的に調査した。3つの同一デバイスに対し、負ゲート電圧(-5~-9V)、正ゲート電圧による回復、負ゲート電圧ストレスの繰り返し、およびドレイン電流ストレス(最大0.5A)を順次印加した。IGSはストレス中に連続モニタリングされ、VTHとRDSは測定の中断を挟んで定期的に抽出された。-5~-7VのストレスセグメントではVTHとRDSの時間依存的な変化が顕著であったが、-8Vおよび-9Vセグメントではドリフトの増加が抑制された。これは、印加電圧の大きさだけでなく、累積されたストレス履歴の影響も反映している。正ゲート電圧印加によりVTHとRDSの一部回復が見られ、電気的ストレスによるパラメータシフトの可逆性を示唆した。回復後に-5Vストレスを再印加すると、過去のストレス履歴への顕著な依存性を示す、変化した劣化速度が観察された。ゲート電圧ゼロでのドレイン電流ストレスは、調査範囲内では比較的限定的なパラメータドリフトしか引き起こさなかったが、正ゲート電圧とドレイン電流の組み合わせは電気的不安定性を増大させた。これらの結果は、過去のストレス条件によって確立された電気的状態が、その後のGaN HEMTの挙動に強く影響することを示している。
- デプレッションモードGaN-on-SiC HEMT 3台に対し、負ゲート電圧(-5〜-9V)ストレス、正ゲート電圧による回復、負ゲート電圧ストレスの繰り返し、ドレイン電流ストレス(最大0.5A)を順次印加し、VTH・RDS・IGSの経時変化を系統的に測定した。
- -5〜-7VのストレスではVTHとRDSの時間依存的な変化が顕著だった一方、-8Vおよび-9Vではドリフト増加が抑制され、印加電圧の大きさだけでなく累積ストレス履歴の影響が示された。
- 正ゲート電圧印加によりVTHとRDSの一部回復が確認され、電気的ストレスによるパラメータシフトの可逆性が示唆された。
- 回復後に-5Vストレスを再印加すると、過去のストレス履歴に強く依存した変化後の劣化速度が観察された。
- ゲート電圧ゼロでのドレイン電流ストレスは比較的限定的なパラメータドリフトしか起こさなかったが、正ゲート電圧とドレイン電流の組み合わせは電気的不安定性を増大させた。
GaN-on-SiC HEMTの長期信頼性は、パワー半導体・高周波デバイスの実用化とデータセンター/通信インフラ向け電源の競争力を左右する要素であり、しきい値電圧・オン抵抗・ゲートリークのストレス履歴依存ドリフトを定量的に示した点は重要。特に「過去のストレス履歴がその後の劣化速度を変える」という知見は、信頼性保証やデバイス選定の基準に直結し、GaNデバイスを手掛ける企業の評価軸になり得る。