b.next、合成細胞研究のための「サイトゾール」製造プラントを稼働開始
We accidentally built a synthetic cell factory
合成細胞研究の相互運用性と統合の問題に取り組むb.next社は、合成細胞の基幹材料である「サイトゾール」を製造するプラントを稼働させ、これまでに100キットを出荷した。当初は学術的な課題解決を目指していたが、研究を進める中で、既存の合成細胞プラットフォーム「PURE」の試薬供給網の脆弱性や、ライセンスの問題、入手困難な試薬(tRNAなど)の存在が明らかになった。これを受けて、b.next社は独自の改良版PUREプラスミドセットとプロトコルを開発し、2024年中盤に公開した。さらに、2025年後半から2026年初頭にかけて、サンフランシスコに製造プラントを設立し、オープン仕様に基づいたサイトゾールキットの供給を開始した。現在、約20の研究室にサイトゾールキットを提供しており、エネルギー、制御、膜翻訳などのモジュール拡張や、カスタムキットの提供も行っている。今後は、設計・解析、ハイスループットスクリーニング、AI駆動型エンジニアリングのためのデジタル・自動化ツールの開発も進める予定である。
- b.next社は合成細胞の基幹材料「サイトゾール」の製造プラントを稼働させ、これまでに100キットを出荷した
- 既存プラットフォーム「PURE」の試薬供給網の脆弱性やライセンス問題、tRNAなど入手困難な試薬の存在を受け、独自改良版PUREプラスミドセットとプロトコルを開発し2024年中盤に公開した
- 2025年後半から2026年初頭にかけてサンフランシスコに製造プラントを設立し、オープン仕様に基づくサイトゾールキットの供給を開始した
- 現在約20の研究室にサイトゾールキットを提供し、エネルギー・制御・膜翻訳などのモジュール拡張やカスタムキットの提供も行っている
- 今後は設計・解析、ハイスループットスクリーニング、AI駆動型エンジニアリングのためのデジタル・自動化ツールの開発を進める予定
合成生物学の「川上」にあたる細胞抽出液(サイトゾール)の供給を事業化した点が注目に値する。研究室内の再現性・試薬調達という地味だが共通の痛点を、オープン仕様のキット化と製造プラントで押さえにいくモデルは、消耗品型の継続収益になりやすく、合成細胞・無細胞系スタートアップ全体の開発速度を左右する供給基盤になり得る。100キット出荷・約20研究室への提供という実績はまだ小規模だが、カスタムキットやモジュール拡張、AI駆動エンジニアリングへ広げる構想は、汎用プラットフォーム化による囲い込みの芽と読める。PUREの試薬供給網の脆弱性やライセンス問題という既存エコシステムの弱点を突いた点も、競合に対する差別化要因として評価したい。