MOTS-cはミトコンドリア由来のインターフェロン関連宿主防御ペプチドである
MOTS-c is a mitochondrial-encoded interferon-linked host defense peptide
ヒトミトコンドリアゲノムにコードされる宿主防御ペプチド(HDP)であるMOTS-c(mitochondrial open reading frame from the 12 S rRNA type-c)が同定された。MOTS-cは、大腸菌やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の細胞膜を標的として直接的な抗菌作用と免疫調節機能を発揮する。マウスの腹膜炎モデルではMRSA感染を完全に抑制し、ヒト単球においてはインターフェロンガンマ(IFNγ)、リポ多糖(LPS)、分化シグナルによって内因性MOTS-cの発現が誘導された。さらに、外因性MOTS-cはマウス単球を抗原提示とIFNシグナル伝達に関連する転写シグネチャを持つマクロファージへと再プログラムし、細菌除去能力と代謝を向上させた。本研究は、MOTS-cが初めて発見されたミトコンドリアコードHDPであり、免疫系が核ゲノムだけでなく共進化したミトコンドリアゲノムにもコードされていることを示唆する。
- ミトコンドリアゲノムにコードされる宿主防御ペプチドMOTS-cが同定され、大腸菌やMRSAに対して直接的な抗菌作用を示すことが確認された
- マウスの腹膜炎モデルにおいてMOTS-cがMRSA感染を完全に抑制した
- 外因性MOTS-cがマウス単球を抗原提示とIFNシグナル伝達に関連するマクロファージへ再プログラムし、細菌除去能力と代謝を向上させた
ミトコンドリアゲノムにコードされた新規宿主防御ペプチドMOTS-cの発見は、抗菌薬耐性(AMR)問題に対する新しいアプローチとして注目に値する。MRSAをはじめとする耐性菌への直接的な抗菌作用に加え、免疫調節機能を持つ点で、従来の抗菌薬とは異なるモダリティであり、創薬ターゲットとしての潜在的価値が高い。ただし現時点ではマウスモデルでの検証段階であり、ヒトでの臨床応用には長い時間がかかる点に留意が必要。