GNSS利用不可環境における速度支援航法
Velocity-Aided Navigation in GNSS-Denied Environments
本稿では、全地球航法衛星システム(GNSS)信号が利用できない場合に緯度、経度、高度を決定するための速度支援航法(VAN)手法を提案する。GNSS受信機は現在、位置精度の消費者需要を満たす主要な航法システムであるが、自己完結型ではない。一方、ストラップダウン慣性航法システム(SINS)は自己完結型であるが、時間の経過とともに誤差が著しく増大するという欠点がある。SINSの精度を向上させるために、高価な高精度ジャイロスコープと加速度計を使用する方法や、異なる物理原理に基づく航法システムと統合してSINSを補正する方法がある。本稿では、VANと慣性計測ユニット(IMU)に基づいた代替手法を提案する。この手法は加速度計出力の二重積分を必要とせず、緯度、経度、高度を決定できる。新しい手法の誤差に関する解析的表現を導出し、計算により、自己完結型SINSよりも誤差が大幅に小さいことを示した。実験的テストにより計算結果が確認され、新しい手法の誤差がカルマンフィルターを用いたGNSSと統合されたSINSの誤差と同等であることが実証された。提案されたVAN手法は、独立して使用できるほか、SINSと統合するためのGNSSの代替としても、バックアップ航法システムとしても利用できる。
- GNSS信号が利用できない環境で緯度・経度・高度を決定する速度支援航法(VAN)手法を提案した
- 提案手法は加速度計の二重積分を必要とせず、自己完結型SINSよりも誤差が大幅に小さいことを計算と実験で示した
- 提案されたVAN手法の誤差は、カルマンフィルターを用いてGNSSと統合されたSINSの誤差と同等であることが実験で実証された
GNSS信号が利用できない環境下での航法技術は、宇宙・防衛・自律走行などの分野で重要度が高まっている。本稿で提案される速度支援航法(VAN)は、高価な高精度センサーを使わずにSINSの誤差を抑える手法であり、コスト削減と性能向上の両立を目指す点で、航法システム市場における競争力向上に寄与する可能性がある。GNSS非依存の測位技術は安全保障上の関心も高く、今後商用化や実用化が進めば関連企業の評価に影響を与える。