運動学と動力学の同時推定のための密結合型多体動力学およびマルチセンサー融合アルゴリズム
A Tightly Coupled Multibody Dynamics and Multi-Sensor Fusion Algorithm for Simultaneous Kinematics and Kinetics Estimation
本研究では、慣性計測装置(IMU)の測定値と多体動力学モデルを、反復拡張カルマンフィルターを介して直接統合する密結合型のモーションキャプチャ手法を提案する。これにより、システムの運動学と動力学を同時に推定する。このアルゴリズムは、加速度計とジャイロスコープのデータのみを利用し、完全な多体システムダイナミクスを強制することで、関節の運動学と動力学を正確に推定する。さらに、光学式モーションキャプチャ測定値や関節トルク読み取り値などの異なるセンサーデータを融合させることで、推定精度を向上させる。3自由度の振り子と6自由度の協働ロボットを用いた検証では、振り子の計算された関節角度の最大二乗平均平方根誤差は3.75°、ロボットの関節角度の最大二乗平均平方根誤差は3.24°であった。動力学推定に関しては、振り子で最大3.02 Nm、ロボットで最大4.27 Nmの関節トルクの二乗平均平方根誤差が報告されている。
- 密結合型多体動力学とマルチセンサー融合アルゴリズムにより、IMUデータのみで関節角度を最大3.75°(振り子)、3.24°(ロボット)の誤差で推定可能であることが示された
- 6自由度の協働ロボットを用いた検証で、関節トルクの推定誤差が最大4.27 Nmと報告された
本稿は学術研究の紹介であり、特定の企業による製品発表や事業化の発表ではない。しかし、IMUと多体動力学モデルの密結合による高精度な運動学・動力学同時推定は、既存の光学式モーションキャプチャに依存しないロボット制御や人間の動作解析に応用可能な技術であり、産業用・サービスロボット分野での低コスト高精度制御に繋がる可能性がある。現時点では投資判断に直結する具体的な事業化や企業動向は確認できないが、センサーフュージョン技術の進展としてロボティクス領域で注視に値する。