2026年9月28日 — 2026年10月4日
Starship初の軌道飛行達成と米有人・商業宇宙輸送の新展開
今週はSpaceXの超大型ロケットStarshipが初の軌道投入と第3世代Starlink衛星の展開に成功し、アルテミス計画の月面着陸船実用化に向けた歴史的マイルストーンを記録した。有人宇宙飛行分野ではSpaceX Crew-13が記録的な速さで国際宇宙ステーションに到着し追加発注が決まった一方、改修を進めるボーイングのスターライナーの再建計画も示された。さらにBlue OriginのニューグレンがNASA契約に追加され、月面インフラや深宇宙探査に向けた技術開発も大きく前進した。
Starship初軌道飛行の達成と次世代通信網への布石
SpaceXはテキサス州スターベースから超大型ロケットStarship-Super Heavyの第14回飛行試験を実施し、史上初となる地球周回軌道への投入を成し遂げた。上昇時に上段ラプターエンジンの1基が早期停止するトラブルが発生したものの、飛行制御システムの調整により軌道到達を果たし、搭載されていた第3世代Starlink衛星26基の軌道展開に成功した。衛星展開後、機体は打ち上げから約3時間後にハワイ北方の太平洋へ着水した。今回の成功は、大容量通信コンステレーションの展開能力を実証しただけでなく、NASAのアルテミス計画において月面着陸船(HLS)として機能させるための極めて重要な技術的ハードルをクリアしたことを意味する。
有人宇宙輸送の二重化をめぐる明暗:SpaceX独走とスターライナー再建
国際宇宙ステーション(ISS)への有人輸送では、SpaceXのFalcon 9とDragon宇宙船によるCrew-13ミッションが打ち上げられ、打ち上げから約8時間という米国宇宙船として史上最速の所要時間でISSへの自動ドッキングに成功した。NASAは同社との商業有人輸送能力(CCtCap)契約を改訂し、Crew-15からCrew-17までの3ミッション(総額約9億4600万ドル)を追加発注したほか、JAXAの諏訪理宇宙飛行士が参加するCrew-14のクルーも発表した。これに対し、推進系統のトラブルにより帰還遅延を引き起こしたボーイングのスターライナー宇宙船については、NASAとボーイングが最新の開発ロードマップを公表した。スラスターバルブの再設計や熱環境の改良を検証するため、2026年末から2027年初頭にかけて無人の「スターライナー1」試験飛行を実施し、有人飛行の再開は2028年を目指す。2030年のISS運用終了を見据え、NASAは有人アクセスの冗長性を確保するため、スターライナーの認証取得とULAの新型ロケット「バルカン」への移行支援を継続する方針である。
打上げ市場の多元化と安全保障・軌道上新技術の進展
ロケット輸送市場と安全保障宇宙分野でも重要な進展が見られた。SpaceXは国家偵察局(NRO)の機密ミッションNROL-97でFalcon Heavyを初運用したほか、米軍向け衛星群Starshieldを基盤とするUSSF-385の打ち上げも実施した。さらにTransporter-18ミッションでは、GoogleのTPUを搭載して宇宙空間での機械学習インフラを実証する衛星「サンキャッチャー」が軌道に投入された。こうしたSpaceXの市場支配に対し、NASAは打ち上げサービス(NLS II)契約にBlue Originの大型ロケット「ニューグレン9×4」を正式に追加した。これにより、将来の官民ミッションにおける輸送手段の選択肢が広がり、打上げサプライチェーンの多極化に向けた制度的基盤が整えられた。
月面基地インフラ構築と深宇宙探査への布石
月面恒久拠点の設立と深宇宙探査に向けた動きも加速している。アルテミス協定の署名国はアルバニア、クロアチア、コートジボワール、サンマリノ、ジブチなどの加盟により76カ国に達した。NASAは商業月面輸送サービス(CLPS)で輸送する月面基地向け新科学観測機器(LEMS-SP、GIMLI、DISCO)を選定し、月面5G通信システムの主要要素開発をモジュレート・スペース社に約3800万ドルで発注した。また、宇宙飛行士の排泄物と月・火星の塵を組み合わせた現地製造用バイオ複合材料や、月面農業モジュール(LAM-GTD)の共同研究など、自給自足型インフラの整備が進んでいる。深宇宙探査においては、NASAが2033年打ち上げを目指す12億ドル規模の新型遠赤外線宇宙望遠鏡「PRIMA」をフェーズB開発段階へ移行させ、金星探査機「DAVINCI」が摂氏465度の極限環境試験をクリアするなど、将来の大規模ミッションに向けた確実な足がかりが築かれた。
今後の注目点
Starship初軌道飛行の成功を受け、月面着陸船(HLS)に必要な軌道上推進剤補給実証や機体完全回収に向けた試験がどのタイムラインで進展するか。
スターライナーの無人試験飛行(スターライナー1)で推進系の再設計が有効に機能し、2028年の有人飛行再開とバルカンロケットでの認証取得へ道筋をつけられるか。
NASA契約に追加されたBlue Originのニューグレンが実飛行で信頼性を示し、SpaceXに依存する政府・商業打ち上げ市場の多極化を牽引できるか。
特に重要な記事
- SpaceXがSuper Heavy-Starshipの初軌道飛行ミッション(Starship Flight 14)をテキサス州スターベースから実施した。
- 上位ステージのラプターエンジン1基が早期停止するトラブルがあったが、残りのエンジンで軌道投入を完了した。
- 第3世代Starlinkインターネット衛星26基を低軌道に展開した。
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