コンクリートの熱機械的安定性を向上させる多次元熱伝導ネットワークの工学的設計
Engineering a Multi-Dimensional Thermally Conductive Network to Enhance the Thermo-Mechanical Stability of Concrete
熱管理用途(熱エネルギー貯蔵システム、コンクリート構造データセンターなど)では、熱伝導性と強度を両立させることが課題となっていた。この課題に対し、1次元鋼繊維と2次元グラファイト改質再生骨材を組み合わせた複合材料(SFRHCC)を開発した。このSFRHCCは、200°Cの熱処理後も熱伝導率の低下を7.6%に抑え、通常の再生骨材コンクリート(RAC)の28.2%低下を大幅に上回った。また、圧縮強度と引張強度をそれぞれ92.0%、91.3%維持し、通常のRAC(75.0%、72.4%)を凌駕した。X線CTとEDT分析により、高密度な線・面重複ネットワークが形成され、空間接続性が9.94%であることが明らかになった。この構造は、界面破壊モードを界面剥離から凝集マトリックス引き裂きへと変化させ、熱管理用途における構造・機能統合型コンクリートの開発に有望な材料設計戦略を提供する。
- 1次元鋼繊維と2次元グラファイト改質再生骨材を組み合わせた複合材料(SFRHCC)を開発し、多次元の熱伝導ネットワークを形成させた。
- 200°Cの熱処理後も熱伝導率の低下を7.6%に抑え、通常の再生骨材コンクリート(RAC)の28.2%低下を大幅に上回る熱安定性を示した。
- 圧縮強度92.0%、引張強度91.3%を維持し、通常のRAC(75.0%、72.4%)を凌駕した。
- X線CTとEDT分析により、高密度な線・面重複ネットワークの形成と空間接続性9.94%を確認。界面破壊モードが界面剥離から凝集マトリックス引き裂きへ変化した。
- 熱エネルギー貯蔵システムやコンクリート構造データセンターなど、熱管理用途への応用を想定した構造・機能統合型コンクリートの設計戦略を提示した。
コンクリートという成熟素材に、鋼繊維(1次元)とグラファイト改質再生骨材(2次元)を組み合わせた多次元熱伝導ネットワークを導入し、200°C熱処理後の熱伝導率低下を7.6%に抑えつつ圧縮・引張強度を9割超維持した点が注目点。データセンターの熱管理や熱エネルギー貯蔵という需要側の具体用途が示されており、建材・建設大手やデータセンター向け熱管理ソリューションにとって、再生骨材の付加価値向上と構造・機能一体型材料という新たな差別化軸になり得る。ただし現時点は研究段階の材料設計戦略であり、量産コスト・施工性・長期耐久性の検証と、どの企業が実装するかの動向を確認してから投資判断に組み込むべき。