タウの過剰リン酸化は微小管への協同結合を阻害し、ニューロンにおけるオルガネラ輸送を乱す
Tau hyperphosphorylation impairs cooperative binding to microtubules and perturbs organelle trafficking in neurons
タウタンパク質の過剰リン酸化は、アルツハイマー病などのタウオパチーにおける神経変性に関連している。タウは微小管に協同的に結合して細胞内輸送を制御するが、過剰リン酸化によりこの結合が阻害され、オルガネラ輸送が乱れることが示された。過剰リン酸化タウは微小管から速やかに解離し、均一に分布する。これにより、キネシンモータータンパク質KIF5CとKIF1Aの運動に対するタウの阻害効果が変化し、特にKIF1Aの阻害が増強される。結果として、ニューロン内のリソソーム輸送が変化し、タウノックアウトニューロンと同様にリソソームの運動性が亢進する。これらの発見は、タウの過剰リン酸化がタウエンベロープ形成を阻害し、リソソーム輸送を損なうことで、神経変性を引き起こす初期の分解経路の欠陥に寄与する可能性を示唆している。
- タウの過剰リン酸化が微小管への協同結合を阻害し、微小管から速やかに解離して均一に分布することが示された
- 過剰リン酸化タウはキネシンモーター KIF5C と KIF1A への阻害効果を変化させ、特に KIF1A の阻害を増強する
- その結果、ニューロン内のリソソーム輸送が変化し、タウノックアウトニューロンと同様にリソソーム運動性が亢進する
- タウ過剰リン酸化がタウエンベロープ形成を阻害し、リソソーム輸送を損なうことで神経変性の初期分解経路の欠陥に寄与する可能性を示唆
タウ過剰リン酸化が微小管への協同結合を阻害し、KIF5C・KIF1A への阻害効果が変化、特に KIF1A 阻害が増強されてリソソーム輸送が乱れるという機構解明は、タウオパチー(アルツハイマー病等)の初期病態を標的とする創薬ターゲットの妥当性を高める基礎研究。KIF1A やリソソーム輸送経路を標的とした新モダリティの探索余地を示す一方、現時点では前臨床段階の知見であり、上市・提携・規制の材料にはならないため短期の投資判断材料としては限定的。中長期で神経変性領域のパイプラインを評価する際の科学的裏付けとして押さえておきたい。