衣料廃棄物からカルボキシメチルセルロースナトリウムを製造する研究:原料タイプ、合成経路、製品品質の包括的分析
Valorisation of Pre- and Post-Consumer Cotton, Viscose and Bast-Fibre Textile Waste into Sodium Carboxymethyl Cellulose: A Comprehensive Study of Feedstock Type, Synthesis Route and Product Quality
本研究では、綿、ビスコース、麻などのセルロース系衣料廃棄物を原料として、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na-CMC)を製造するプロセスを体系的に検討した。55回のバッチ合成により、原料タイプ(裁断屑、使用済み衣料、参照布)、5つの合成経路(一段階、段階試薬、過酸化水素漂白/分解、架橋、モノクロロ酢酸ナトリウム)の影響を評価した。平均置換度(DS)は0.48±0.07で原料クラス間で有意差はなかったが、使用済み衣料の製品純度は参照布(75.9%)より低く(71.9%)、分布も広かった。SEM/EDS分析では、使用済み衣料繊維に硫黄やアルミニウムの付着が確認された。DSは純度および粘度と正の相関を示した。粘度は2.5~23,100 mPa・sの範囲で、低粘度から高粘度までのグレードを単一プロセスで調整可能であることが示された。過酸化水素の使用は粘度を低下させたが、置換度への影響は軽微だった。本研究は、機械的に細断された衣料廃棄物から実験室スケールで技術グレードのCMCを製造できることを実証した。
- セルロース系衣料廃棄物(綿・ビスコース・麻)を原料にNa-CMCを製造するプロセスを55回のバッチ合成で体系的に検討し、実験室スケールでの技術グレードCMC製造を実証した
- 平均置換度(DS)は0.48±0.07で原料クラス間の有意差はないが、使用済み衣料の製品純度は71.9%と参照布の75.9%より低く分布も広い
- 粘度は2.5~23,100 mPa・sの範囲で、低粘度から高粘度までのグレードを単一プロセスで調整可能
- 過酸化水素の使用は粘度を低下させるが置換度への影響は軽微であり、5つの合成経路の比較で原料・工程設計の自由度が示された
- SEM/EDS分析で使用済み衣料繊維に硫黄やアルミニウムの付着が確認され、廃棄物由来原料の不純物管理が品質課題となる
衣料廃棄物を原料にカルボキシメチルセルロースナトリウム(Na-CMC)を実験室スケールで製造できることを実証した研究。既存のバージンプルプ由来CMCに対するリサイクル原料の品質差(純度71.9%対75.9%)と、単一プロセスで2.5〜23,100 mPa・sの粘度グレードをカバーできる点が実用化判断の鍵。ただし実験室規模の検証にとどまり、事業化・商業生産の計画は示されておらず、投資対象としての具体性は限定的。素材メーカーのリサイクル原料調達や低粘度グレードの用途開拓を追う上での技術的基礎情報として注目。