自閉症スペクトラム障害のリスクが高い乳児と低い乳児では、音声追跡と統計的学習における脳波発達の軌跡が異なる
Infants at high and low likelihood for autism show different EEG developmental trajectories in speech tracking and statistical learning
自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断される乳児では、喃語や最初の単語の出現が遅れることが報告されている。本研究では、ASDの乳児における言語獲得の神経メカニズムを解明するため、音声の音節追跡能力と統計的学習能力を調査した。高リスク(HL)群と低リスク(LL)群の乳児計44名(2.5~22.6ヶ月)から83件の縦断的高密度脳波(EEG)を記録し、20ヶ月時点での言語発達を評価した。音節レベルでのニューラル同期(neural entrainment)を測定した結果、HL群の乳児では音節レベルでの追跡能力が低下しており、これが言語発達と相関することが示された。統計的学習能力自体に欠陥は見られなかったが、単語認識テストにおいて、HL群の乳児は遅延誘発電位(ERP)の低下を示し、新規性への注意が減少していることが示唆された。一方、LL群の乳児では12ヶ月頃にマルチ話者による変動が単語の区切りに一時的な影響を与えたが、HL群では影響が見られず、HL群の乳児は人間の声の変動に対する感受性が低下している可能性が示唆された。これらの結果は、HL群およびLL群の乳児における音声処理の階層的段階を追跡するために、オンラインかつ暗黙的な指標を用いる縦断的プロトコルの重要性を強調している。
- 高リスク(HL)群と低リスク(LL)群の乳児計44名(2.5〜22.6ヶ月)から83件の縦断的高密度脳波(EEG)を記録し、20ヶ月時点の言語発達を評価した研究を実施
- HL群では音節レベルのニューラル同期(neural entrainment)が低下し、これが言語発達と相関することが示された
- HL群では単語認識テストの遅延誘発電位(ERP)が低下し、新規性への注意減少が示唆された
- LL群では12ヶ月頃にマルチ話者の音声変動が単語の区切りに一時的な影響を与えたが、HL群では影響が見られず、声の変動への感受性低下が示唆された
ASDリスク乳児の音節追跡・統計的学習を縦断的EEGで追跡した基礎研究であり、直接の企業業績や資本配分に結びつく事象ではない。ただし、早期バイオマーカー(音節ニューラル同期やERP)と言語発達予測の枠組みは、BCI・神経診断・小児発達スクリーニング機器を手掛ける企業にとっての中長期的な技術シーズになり得る。投資判断としては、診断アルゴリズムやEEG計測デバイスの商用化につながる後続研究・規制動向を注視する段階と捉える。