AlphaFold2を用いた線状抗体エピトープ予測
Linear antibody epitope prediction using AlphaFold2
抗体の結合エピトープの定義は、その分子機能の理解に不可欠である。従来の線状エピトープの決定法は時間とコストがかかるため、AlphaFold2のlocalColabFold実装に基づいた計算パイプライン「PAbFold」を開発した。PAbFoldは、抗体と抗原由来のターゲットペプチド配列間の複合体の構造を予測することで線状抗体エピトープを予測する。HA/Mycのような既知のエピトープ配列を正確に特定できることを確認し、さらにSARS-CoV-2核タンパク質を標的とする新規抗体のエピトープを予測し、ペプチド競合ELISAアッセイで実験的に検証した。このAlphaFold2ベースのPAbFoldパイプラインは、抗体と標的タンパク質の配列のみを用いて短時間で線状抗体エピトープを正確に特定できる。この手法は、ペプチド長、AlphaFold2ニューラルネットワークバージョン、複数配列アラインメントデータベースなどの方法論の詳細に影響を受ける。PAbFoldはhttps://github.com/jbderoo/PAbFoldで利用可能である。
- AlphaFold2のlocalColabFold実装に基づく線状抗体エピトープ予測パイプライン「PAbFold」を開発し、抗体・抗原の配列のみで短時間にエピトープを特定できることを示した
- HA/Mycなど既知のエピトープ配列を正確に識別し、SARS-CoV-2核タンパク質を標的とする新規抗体のエピトープについてペプチド競合ELISAで実験的に検証した
- 予測性能はペプチド長、AlphaFold2ニューラルネットワークのバージョン、複数配列アラインメントデータベースなどの方法論的詳細に影響される
- PAbFoldはGitHub上で公開され利用可能になっている
抗体の結合エピトープ同定は創薬・診断薬開発の初期工程で、従来はウェットラボ作業に時間とコストがかかっていた。AlphaFold2ベースのPAbFoldが配列情報のみで短時間に線状エピトープを予測でき、SARS-CoV-2核タンパク質を標的とする新規抗体でペプチド競合ELISAによる実験検証まで通した点は、in silico創薬・抗体エンジニアリングの開発リードタイム短縮につながる。GitHubで公開されており参入障壁が低い一方、ペプチド長やAlphaFold2のネットワーク版、MSAデータベースなど方法論依存が大きいと明記されており、予測精度の再現性・汎用性が実用化の鍵になる。AI創薬ツール群の実装力を測る事例として注視したい。