実ネオジム磁石浸出液からのネオジム/ホルミウム分離における回収率と純度のトレードオフ
Recovery and Purity Trade-Off in Nd/Ho Separation from Real NdFeB Magnet Leachates
電気自動車の需要増加に伴い、使用済みネオジム磁石のリサイクルが重要視されている。しかし、ネオジム(Nd)とホルミウム(Ho)のような化学的性質が類似したレアアース元素(REE)の選択的分離は依然として課題である。本研究では、ジ-(2-エチルヘキシル)リン酸(D2EHPA)を抽出剤とした液液抽出により、実ネオジム磁石浸出液からのNdとHoの分離を検討した。抽出剤濃度(0.05 M、0.1 M)、有機相/水相比(1:1、2:1)、pH(0.6、2)の影響を評価した。抽出剤濃度と相比の増加はHo抽出率を90%以上に向上させたが、pH 0.6ではNdの共抽出率は0.8~4.6%と比較的低かった。pHが主要なパラメータであり、pH 2ではHo抽出率は96%を超えたものの、Ndの共抽出率が約28%まで大幅に増加し、選択性が低下した。初期のNd:Ho濃度比(約12:1)が高いため、Ndの共抽出率が低くてもHoリッチ製品の汚染は顕著になり、製品純度が主な制約要因となった。結果として、回収率と選択性のトレードオフが示され、低pHは選択性を、高pHは抽出効率を促進することがわかった。
- 実ネオジム磁石浸出液を対象に、D2EHPAを抽出剤とした液液抽出でNdとHoの分離を検討し、抽出剤濃度0.05M/0.1M、有機相/水相比1:1/2:1、pH0.6/2の条件を評価した
- pH0.6ではHo抽出率90%以上を維持しつつNd共抽出率は0.8~4.6%に抑制され、選択性が高い
- pH2ではHo抽出率は96%超に向上するがNd共抽出率が約28%まで増加し、選択性が低下するトレードオフが確認された
- 初期Nd:Ho濃度比が約12:1とNd過剰なため、Nd共抽出率が低くてもHoリッチ製品の汚染が顕著となり、製品純度が主な制約要因となる
使用済みネオジム磁石からのNd/Ho分離という、EV向けレアアース供給のボトルネック解消に直結する研究。実浸出液を用いた液液抽出の条件検討で、pHが選択性と回収率を分ける支配因子であることを定量的に示し、pH0.6ではNd共抽出0.8~4.6%でHoを90%以上回収できる一方、pH2ではHo96%超だがNd共抽出が約28%に悪化するトレードオフを明確化した。初期Nd:Ho比が約12:1とNd過剰なため、わずかな共抽出でもHo製品純度が制約になる点は、リサイクル設備・薬剤コストと製品グレード設計に効く実務的示唆。ただし現段階はラボ検証であり、商業規模の分離コストやスケール時の再現性は未確認のため、投資判断には実証・量産化の進捗確認が前提となる。