廃HDDから回収した永久磁石を用いたポリマー系磁性複合材料の溶融積層造形
Fused Deposition Modeling of Polymer-Based Magnetic Composites from Recycled Permanent Magnets of Discarded Hard Drives
廃HDDから回収したNdFeB(ネオジム-鉄-ホウ素)合金粉末(50μm以下)を、柔軟な熱可塑性ポリマーであるPBAT(ポリブチレンアジペート-コテレフタレート)と混合し、磁性複合材料フィラメントを製造した。このフィラメントを用いて、外部磁場を印加しながら溶融積層造形(FDM)により3Dプリントすることで、磁性複合材料を作製した。最大50%(重量比)のNdFeB粉末を含む複合材料は、剛性が向上し、保管弾性率が20°Cで123MPaから178MPaに上昇した。磁場アシスト印刷により、保磁力が11emu/gから28emu/gに向上し、低減保磁力が0.21から0.49に改善され、磁気エネルギー積が約4倍になった。この技術は、電子廃棄物を高付加価値の磁性材料に変換する持続可能なアプローチである。
- 廃HDDから回収したNdFeB合金粉末とPBATポリマーを用いた磁性複合材料のフィラメントを製造し、外部磁場印加下でのFDM3Dプリントにより保磁力と磁気エネルギー積を大幅に向上させた研究成果が発表された
本研究は廃HDDからのネオジム磁石リサイクルと3Dプリンティングを組み合わせ、電子廃棄物を高付加価値の磁性材料へ変換する技術を実証した。保磁力が約2.5倍、磁気エネルギー積が約4倍に向上した点は、リサイクル材でありながらバージン材に匹敵する性能を実現できる可能性を示唆しており、レアアース資源のサプライチェーン制約下において注目に値する。ただし現時点では大学レベルの基礎研究であり、実用化や事業化のマイルストーンには至っていない。今後のスケールアップや量産技術の確立、企業との連携動向をウォッチすべきフェーズである。