石炭火力発電所のボトムスラグをアルカリ活性材料の前駆体として包括的に評価
Comprehensive Evaluation of Coal-Fired Bottom Slag as a Precursor for Alkali-Activated Materials
石炭火力発電所の副産物であるボトムスラグ(BS)は、アルカリ活性化の可能性を持つ未利用のケイ酸アルミニウム資源である。本研究では、BSの化学組成、鉱物組成、形態、活性指数などの物理化学的特性を評価し、粉砕したBSと粉砕高炉スラグ(GGBFS)を混合してアルカリ活性化バインダーを調製した。BS含有量が圧縮強度、反応生成物、微細構造の進化に与える影響を調査した結果、BSは低残炭量で豊富な非晶質ケイ酸アルミニウム相を含み、比較的低い固有反応性にもかかわらず、かなりの潜在的セメント活性を示すことがわかった。バインダーの機械的性能は前駆体組成に強く依存し、BSを20~40 wt.%配合することで反応性と強度発現の最適なバランスが得られた。一方、BS含有量が多いと反応性ガラス相の希釈によりアルカリ活性化反応が著しく阻害された。強度発現はC-(A)-S-HおよびN-A-S-Hゲル形成と緻密な微細構造の発達と密接に関連していた。これらの結果は、BSとGGBFSの相乗活性化が、石炭火力BSの高付加価値利用を可能にしながら、低炭素アルカリ活性化バインダーを製造するための効果的な経路であることを示している。
- 石炭火力発電所の副産物であるボトムスラグ(BS)と粉砕高炉スラグ(GGBFS)を混合し、アルカリ活性化バインダーを調製した研究を実施。
- BSは低残炭量で豊富な非晶質ケイ酸アルミニウム相を含み、固有反応性は比較的低いものの相当な潜在的セメント活性を示すことを確認。
- BSを20~40 wt.%配合することで反応性と強度発現の最適バランスが得られ、高配合では反応性ガラス相の希釈によりアルカリ活性化反応が著しく阻害された。
- 強度発現はC-(A)-S-HおよびN-A-S-Hゲル形成と緻密な微細構造の発達に密接に関連していた。
- BSとGGBFSの相乗活性化が、石炭火力BSの高付加価値利用と低炭素アルカリ活性化バインダー製造の有効な経路であることを示した。
石炭火力の副産物ボトムスラグをGGBFSと混合してアルカリ活性化バインダーにする研究で、BS20〜40wt.%で強度と反応性のバランスが最適化されるという定量結果は、セメント代替の低炭素材料の原料調達・配合設計に直結する。産業副産物の高付加価値化は、セメント大手や石炭火力を持つ電力会社にとって廃棄物処理コスト削減と新規材料収益の両面で材料ポートフォリオ再評価の材料になりうる。ただし実験室レベルの評価であり、実用化・量産・規制適合の確認までは時間を要する点は割り引いて見るべき。