肉腫における機能遺伝子の同定と免疫細胞浸潤解析
Identification of functional genes and immune cell infiltration analysis in liposarcoma
本研究は、軟部肉腫の一種である脂肪肉腫(LPS)の分子病原論と免疫細胞浸潤を解明することを目的とした。遺伝子発現解析、GOおよびKEGG経路エンリッチメント解析、タンパク質間相互作用ネットワーク構築、RT-qPCRによる遺伝子発現検証、CIBERSORTによる免疫細胞サブセット定量を行った。その結果、TYMS、KIF20A、BUB1B、LMNB1、RRM2、ZWINT、RACGAP1の高発現は全生存期間および無病生存期間(DFS)の不良と有意に関連し、TMSB15A、TPX2、PKM2、PTTG1の高発現はDFSの不良と有意に関連することが示された。また、LPS組織では正常脂肪組織と比較して安静マスト細胞(MC)の割合が有意に高いことが特定された。TOP2A、IL-6、PCNA、CDK1、JUN、MYC、CCNB1、EGFR、ACACB、BIRC5はLPSの潜在的な診断バイオマーカーとして同定され、安静MCがLPSの発生に潜在的な役割を果た唆していることが示唆された。
- 軟部肉腫の一種である脂肪肉腫(LPS)の分子病原論と免疫細胞浸潤を解明する研究が実施され、遺伝子発現解析、GO/KEGG経路エンリッチメント解析、タンパク質間相互作用ネットワーク構築、RT-qPCR検証、CIBERSORTによる免疫細胞サブセット定量が行われた。
- TYMS、KIF20A、BUB1B、LMNB1、RRM2、ZWINT、RACGAP1の高発現が全生存期間および無病生存期間(DFS)の不良と有意に関連し、TMSB15A、TPX2、PKM2、PTTG1の高発現がDFS不良と有意に関連することが示された。
- LPS組織では正常脂肪組織と比較して安静マスト細胞(MC)の割合が有意に高く、安静MCがLPSの発生に潜在的な役割を果たすことが示唆された。
- TOP2A、IL-6、PCNA、CDK1、JUN、MYC、CCNB1、EGFR、ACACB、BIRC5がLPSの潜在的な診断バイオマーカーとして同定された。
脂肪肉腫(LPS)を対象としたトランスクリプトーム・免疫浸潤解析により、TYMS、KIF20A、BUB1Bなど予後不良と関連する機能遺伝子群と、TOP2A、EGFR、BIRC5等の診断バイオマーカー候補が同定された。創薬標的・コンパニオン診断の探索に資する基礎研究であり、腫瘍免疫(安静マスト細胞)の関与を示す点は免疫療法開発の観点で注目される。ただし現段階はin silico/検体解析が中心で、企業の開発パイプラインや収益に直結する事象ではなく、実用化には前臨床・臨床での検証が必要。投資家としては、これらの標的を採用する製薬企業の開発動向や、LPS向け診断薬・治療薬の許認可動向をモニタリングする材料として位置づけたい。