火山ガラスにおけるボーズピークの飛行時間検出
Time-of-Flight Detection of Boson Peak in Volcanic Glass
テラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS)を用いて、ガラス中の普遍的な励起であるボーズピーク(BP)の飛行時間(TOF)検出が可能になった。火山起源の黒曜石(天然無機ガラス)を対象に、室温で1.07 THzのボーズピークを観測した。これはシリカガラスの1.2 THzよりも低い値である。このBP周波数の低下は、黒曜石中の金属イオンによるSiO4ネットワークの変調に起因する可能性がある。また、黒曜石の赤外光-振動結合係数(CIR)はシリカガラスよりもはるかに高く、タラスキンモデルによると、非相関電荷ゆらぎ(σ1)は0.481eと算出された。これはシリカガラスの0.06eよりも高いが、ソーダケイ酸ガラス(x=0.2)の約0.44eと同程度である。ケイ酸塩ガラスに共通する特徴として、金属元素の含有量は原子電荷の非局所的な再分布を引き起こし、Si-O結合の弱体化を誘発し、非相関電荷ゆらぎを増強する可能性がある。
- テラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS)を用い、火山起源の黒曜石(天然無機ガラス)でボーズピーク(BP)の飛行時間(TOF)検出に成功した。
- 黒曜石のボーズピークを室温で1.07 THzに観測。これはシリカガラスの1.2 THzより低い値で、金属イオンによるSiO4ネットワークの変調に起因する可能性がある。
- 黒曜石の赤外光-振動結合係数(CIR)はシリカガラスよりはるかに高く、タラスキンモデルから非相関電荷ゆらぎ(σ1)は0.481eと算出された。シリカガラスの0.06eを大きく上回り、ソーダケイ酸ガラス(x=0.2)の約0.44eと同程度。
- ケイ酸塩ガラス共通の特徴として、金属元素の含有が原子電荷の非局所的な再分布を引き起こし、Si-O結合の弱体化を通じて非相関電荷ゆらぎを増強する可能性が示された。
火山ガラス(黒曜石)という天然無機ガラスでボーズピークの飛行時間検出に成功し、その周波数が1.07THzとシリカガラス(1.2THz)より低いことを示した基礎研究。金属イオンによるSiO4ネットワーク変調で非相関電荷ゆらぎが増強されるという知見は、ガラス・セラミックス系材料の誘電特性や熱輸送特性を設計する際の指針になり得る。ただし現時点では企業・製品・量産プロセスに直結する発表ではなく、材料設計指針としての波及を中長期で注視する段階。THz-TDSによる非破壊評価手法として、ガラス品質検査や光学材料の評価技術へ応用される可能性は投資テーマになりうる。