海上災害対応におけるイベント中心のエッジインテリジェンスのためのビジュアル検出ティアのベンチマーク
Benchmarking Visual Detection Tiers for Event-Centric Edge Intelligence in Maritime Disaster Response
本研究では、海上での迅速なインシデント対応のため、観測地点付近でのビジュアル認識の必要性と、検出精度、推論遅延、ハードウェア制約、通信容量のバランスを取る必要性を検証した。イベント中心のエッジインテリジェンス(ECEI)アーキテクチャのビジュアルコンピューティングコンポーネントを、Jetson AGX Orin 64 GB Developer KitとRaspberry Pi 5ベースのreComputer AI R2000-12の2つの海上エッジティアでベンチマークした。タスクとして、人検出(転落者対応)、船舶検出(6クラス、船舶監視・衝突認識)、海洋ゴミ検出(11クラス、漂流物・汚染監視)の3つを選定した。YOLO26、YOLO11、YOLOv8を54のモデル・データセット・デバイス構成で評価し、108,000回の予測を行った。reComputerとAGXの平均遅延比は4.40倍で、AGXの平均遅延は19.84~57.09ミリ秒、reComputerは68.89~172.11ミリ秒だった。AGXの最高mAP50-95値は、人検出で0.331、船舶検出で0.813、海洋ゴミ検出で0.639だった。評価されたイベントメッセージ構成全体で、イベント候補JSONバイトは生JPEGバイトよりも98.20%少なかった。これらの結果は、海上エッジインテリジェンスのためのデプロイメントを考慮したビジュアルティアの選択と、監査可能な検出器からイベントへのインターフェースを支持するものである。
- イベント中心エッジインテリジェンス(ECEI)のビジュアルコンピューティング層を、Jetson AGX Orin 64GB Developer KitとRaspberry Pi 5ベースのreComputer AI R2000-12の2ティアでベンチマークした
- 人検出・船舶検出(6クラス)・海洋ゴミ検出(11クラス)の3タスクでYOLO26、YOLO11、YOLOv8を54構成・108,000回予測で評価した
- reComputerとAGXの平均遅延比は4.40倍で、AGXの平均遅延19.84~57.09ミリ秒に対しreComputerは68.89~172.11ミリ秒だった
- AGXの最高mAP50-95は人検出0.331、船舶検出0.813、海洋ゴミ検出0.639だった
- 評価したイベントメッセージ構成全体で、イベント候補JSONバイトは生JPEGバイトより98.20%少なかった
海上災害対応という具体的なユースケースで、エッジAI推論の精度・遅延・通信帯域のトレードオフを定量化したベンチマーク研究。Jetson AGX Orin 64GBがRaspberry Pi 5ベースのreComputer AI R2000-12に対して平均4.40倍低遅延(19.84~57.09ms vs 68.89~172.11ms)という実測値は、エッジ推論ハードウェアの選定基準として実務的価値が高い。またイベント候補JSONが生JPEG比で98.20%のバイト削減になるという結果は、衛星・海上などの帯域制約環境におけるエッジAIの経済性を裏付ける。ただし特定企業の業績・調達・規制に直接結びつく発表ではなく、投資判断としてはエッジAI推論市場(NVIDIAのJetsonエコシステム等)の需要シグナルとして限定的に参照する程度が妥当。