LLM搭載ソーシャル支援ロボットによる認知行動療法エクササイズの探索的研究:大学生を対象として
LLM-powered socially assistive robot-delivered cognitive behavioral therapy exercises: an exploratory study with university students
うつ病や不安障害の治療法として認知行動療法(CBT)が広く用いられているが、専門家へのアクセスや費用が課題となっている。この課題に対し、大規模言語モデル(LLM)を活用し、対話形式で自宅でのCBTエクササイズをガイドする低コストのソーシャル支援ロボット(SAR)が開発された。38人の大学生を対象とした探索的研究では、15日間にわたり、ロボット(LLM対話使用)、チャットボット(同一LLM対話使用)、または従来のCBTワークシートのいずれかを用いてCBTエクササイズを実施した。その結果、ロボットとワークシート群では心理的苦痛の有意な減少が見られたが、チャットボット群では見られなかった。また、SARは他の2条件を合わせた日数よりも多くの日数で、単一セッションでの有意な改善をもたらした。さらに、不安レベルが高い参加者においては、ロボットとチャットボットの条件がセッション後の不安をより軽減することが示唆された。この研究は、LLM搭載SARによるCBTが、治療の進捗を支援し、エクササイズ直後のユーザーの不安を軽減する効果的な方法である可能性を示唆している。
- LLMを活用し自宅で対話形式のCBTエクササイズをガイドする低コストなソーシャル支援ロボット(SAR)が開発された
- 大学生38人を対象に15日間、ロボット(LLM対話)・チャットボット(同一LLM対話)・従来のCBTワークシートの3条件を比較する探索的研究を実施
- ロボット群とワークシート群では心理的苦痛の有意な減少が見られたが、チャットボット群では見られなかった
- SARは他の2条件を合わせた日数よりも多くの日数で、単一セッションでの有意な改善をもたらした
- 不安レベルが高い参加者では、ロボットとチャットボットの条件がセッション後の不安をより軽減することが示唆された
LLMを組み込んだソーシャル支援ロボット(SAR)が、大学生38人を対象とした15日間の探索的研究で、従来のCBTワークシートと同等以上に心理的苦痛を有意に減少させ、チャットボット群では見られなかった改善効果を示した点が注目される。同じLLM対話を用いてもロボットという物理的身体性が治療効果を左右しうるという示唆は、メンタルヘルス領域におけるサービスロボットの差別化要因(ハードウェアの存在価値)を示すもので、SARやケア向けロボットを手掛ける企業にとって事業機会の根拠になり得る。ただし被験者38人・15日間の小規模探索的研究であり、効果の再現性や規制・保険償還の扱いは未確立なため、投資判断にはより大規模な追試と商業化モデルの検証が必要。