急性暴露後のエビ(Litopenaeus vannamei)肝膵臓のトランスクリプトーム解析:Alexandrium pacificum への影響
Transcriptome analysis of hepatopancreas of Litopenaeus vannamei after acute exposure to Alexandrium pacificum
有毒渦鞭毛藻である Alexandrium pacificum への急性暴露が、エビ(Litopenaeus vannamei)の肝膵臓に与える影響をトランスクリプトーム解析により調査した。A. pacificum の細胞(1.0 × 10^4 cells/mL)または対照群(自然海水中)にエビを暴露し、72時間後に肝膵臓を採取してトランスクリプトームシーケンシングを行った。暴露群では対照群と比較して264個の遺伝子発現差(DEG)が確認され、うち185個がアップレギュレーション、79個がダウンレギュレーションしていた。DEGはシグナル伝達、酸化的リン酸化、プロテアーゼ阻害剤、リボソームタンパク質機能に関連するものが多く見られた。GOエンリッチメント解析では、免疫系プロセス、リソソーム介在性細胞プロセス、代謝機能が有意に濃縮されていた。KEGG解析では、リソソーム、C型レクチン受容体シグナル伝達、ペルオキシソーム、薬物代謝、神経活性リガンド・受容体相互作用などの経路が濃縮されていた。本研究は、A. pacificum の毒性に対する L. vannamei の分子防御メカニズムに関する知見を提供する。
- Alexandrium pacificum への急性暴露によりエビ(Litopenaeus vannamei)の肝膵臓で264個の遺伝子発現差(DEG)が確認され、免疫系・リソソーム・代謝関連経路が濃縮された
本記事は重要エビ種(Litopenaeus vannamei)の有害藻類に対する分子防御メカニズムをトランスクリプトーム解析で解明した学術研究であり、水産養殖業における有害藻類ブルーム対策や耐病性育種の基盤となる知見を提供する。投資判断としては、水産バイオテクノロジーや養殖業向けの防御技術開発への応用可能性に注目すべきだが、現段階では基礎研究レベルであり、具体的な製品化や企業への応用は示されていない。