固化前線におけるWおよびSiの移動制御による積層造形ニッケル基超合金の溶接性改善
Weldability Improvement of Additively Manufactured Nickel-Based Superalloy by Controlling W and Si Migration at Solidification Front
レーザー粉末床溶融積層造形(LPBF)で製造されたニッケル基超合金部品は、航空エンジンで広く使用されているが、鋳造材や鍛造材に比べて溶接性が劣る。本研究では、LPBF加工されたHaynes 230合金のレーザー深溶接を行い、溶接割れメカニズムを分析した。割れの原因は、W、Si、Al、ケイ化物に富む低融点TCP相が、Bリッチ領域に偏在し、マトリックスとの整合性が低いことと強く相関していた。また、溶融プールの流動挙動が溶接部の凝固速度に影響し、割れ感受性領域(CZ)に大きな凝固収縮応力を生じさせていた。割れ感受性相の生成条件を最小化するため、W含有量を14.96 wt.%から13.56 wt.%に、Si含有量を0.47 wt.%から0.25 wt.%に低減し、固化末期における固相でのW、Si、C元素の偏析を緩和した。これにより、TCP相とケイ化物が炭化物に転移し、溶接割れを抑制することに成功し、割れ深さ比を0.70 ± 0.08からゼロに低減した。これにより、レーザー溶接された積層造形割れ感受性超合金の溶接性改善と割れ抑制メカニズムに関する新たな知見が得られ、大型アセンブリの迅速な応用が加速される。
- LPBF加工されたHaynes 230合金のレーザー深溶接における割れメカニズムを解明し、W含有量を14.96→13.56 wt.%、Si含有量を0.47→0.25 wt.%に低減することで割れ深さ比を0.70±0.08からゼロに低減した
本論文はLPBF積層造形されたHaynes 230超合金の溶接割れ問題を、合金組成(W, Si含有量)の微調整により根本的に解決した点が重要。従来は「積層造形部品は溶接が難しい」という課題が航空エンジン大型アセンブリの迅速展開を阻んでいたが、成分最適化という実用的アプローチで割れ深さ比をゼロにできたことは、積層造形部品の後工程での接合・修復コストを劇的に削減しうる。航空宇宙分野でのLPBF部品の実用化を加速する可能性があり、材料サプライヤや積層造形サービス事業者にとっては競争力向上につながる技術的ブレークスルーと言える。