悪性腫瘍の進化におけるアミロイド小体
Amyloid-bodies in the evolution of malignancies
がん細胞は様々な環境ストレス下での生存能力によって腫瘍形成が進む。本研究では、ストレス誘発性凝集体であるアミロイド小体が腫瘍形成において果たす役割を、ヒト組織とマウスの生体内異種移植モデルを用いて調査した。アミロイド小体を腫瘍内で可視化する手法と半自動解析パイプラインを開発し、複数のがん種を分析した結果、アミロイド小体は全てのグレードとステージのがんで検出され、細胞増殖マーカーKi-67と負の相関があることが明らかになった。さらに、乳がんのマウスモデルにおいて、アミロイド小体形成に関与する長鎖非コードリボソーム間スペーサーRNA(rIGSRNA)をサイレンシングすると、生体内で腫瘍形成が加速することが示された。これらの結果は、アミロイド小体形成がヒトのがんで発生し、生体分子凝集体が生理学的に関連していることを示唆している。
- アミロイド小体がヒトのがんで検出され、細胞増殖マーカーKi-67と負の相関を示した
- 乳がんマウスモデルにおいて、アミロイド小体形成に関与する長鎖非コードrIGSRNAをサイレンシングすると腫瘍形成が加速した
アミロイド小体形成が腫瘍形成を抑制する可能性を示す新規メカニズムの発見であり、がん診断・治療標的としての創薬シーズにつながる。特に、長鎖非コードRNA(rIGSRNA)のサイレンシングが腫瘍形成を加速させたことは、アミロイド小体の抗腫瘍的役割を強く示唆しており、この経路を増強する治療戦略やバイオマーカー開発に投資機会が生じる可能性がある。ただし、現時点では基礎研究段階であり、実用化には長い時間を要することに留意が必要。