人工知能によるHER2陽性腫瘍細胞割合の検出がFISH陽性率と乳がん治療効果を予測
Artificial intelligence-detected HER2 strong-positive tumor proportion predicts FISH positivity and treatment response in breast cancer
乳がん治療におけるHER2標的療法には標準化されたHER2検査が必要だが、現在の免疫染色法は観察者間の主観性やばらつきが課題となっている。本研究では、AI(Lunit SCOPE HER2)が全スライド画像から完全かつ強度のHER2陽性(3+)腫瘍細胞の割合を評価し、191例の乳がん症例について3名の病理医と比較した。AIによる3+腫瘍細胞割合の検出は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)陽性率(ROC曲線下面積[AUC]: 0.783)および病理学的完全奏効(pCR)率(オッズ比[OR]: 1.003–1.052)と強く相関し、病理医の評価を上回った。AIと病理医の評価を組み合わせることで、FISH陽性予測のAUCは0.712–0.813から0.790–0.821に、pCR予測のORは0.996–1.061から1.003–1.055に向上した。この結果は、AIがHER2状態の判定と治療効果予測を強化し、従来の病理学的評価を補完する可能性を示唆している。
- Lunit SCOPE HER2によるAI評価が、HER2陽性腫瘍細胞割合の検出においてFISH陽性率と強く相関(AUC 0.783)し、病理医の評価を上回った
- AIと病理医の評価を組み合わせることで、FISH陽性予測のAUCが0.712-0.813から0.790-0.821に向上
- AIによる3+腫瘍細胞割合の検出が病理学的完全奏効(pCR)率と有意に相関(オッズ比 1.003-1.052)
Lunit社のAI病理診断プラットフォーム「Lunit SCOPE HER2」が、乳がんのHER2陽性判定において病理医の評価を上回る精度を示した点は、デジタル病理学×AI領域における同社の競争優位性を裏付ける重要なエビデンスである。特に、FISH陽性予測(AUC 0.783)およびpCR予測において病理医単独よりも高い相関を示し、かつ両者の組み合わせでさらに精度向上が確認されたことは、AIが病理医の代替ではなく補完ツールとして臨床導入される道筋を示しており、Lunitの事業拡大にとって追い風となる。