持続可能なコンクリートの強度とピーク後延性を最適化:シリカフューム、ナノシリカ、クラスFフライアッシュの相乗効果
Optimizing Strength and Post-Peak Ductility in Sustainable Concretes: The Synergy of Silica Fume and Nano-Silica with Class F Fly Ash
本研究は、セメント系バインダーにナノシリカ(NS)、シリカフューム(SF)、クラスFフライアッシュ(FA)を同時に適用する相乗効果を調査し、高強度・高延性コンクリートの開発を目指した。7つのコンクリートシリーズで実験を行い、3点曲げ試験による二パラメータ破壊モデル(TPFM)を用いて機械的特性と非線形破壊特性を評価した。また、破壊エネルギーを初期破壊エネルギー(Gini)、ピーク前微小亀裂エネルギー(Gpre)、主材料軟化エネルギー(Gsoft)、残余テールエネルギー(Gtail)の4成分に分解し、特性長さ(lch)も測定した。結果として、NSとSFのみのシステムは強度を向上させるが、lchを13.65%低下させる「脆性トラップ」を引き起こすことが判明した。FAの導入は、この脆性を緩和し、準延性破壊モードに転換させた。NS+FAハイブリッド(Mix-5)は、Gfを107%増加させ、lchを約50%増加させ、高い破壊靭性を維持した。四成分系コンクリートのエネルギー分解分析では、初期エネルギーのシェアが減少し、軟化およびテール相(Mix-7でGtailが13.1%)が増加し、FA粒子の遅延水和による巨視的な亀裂橋渡しメカニズムの活性化が示唆された。この研究は、多成分バインダーの精密設計により、高い構造容量と安全な材料延性を組み合わせた最適な技術的均衡点(「スイートスポット」)を達成できることを示している。
- シリカフュームとナノシリカのみのシステムは強度向上をもたらすが、特性長さを13.65%低下させる「脆性トラップ」を引き起こすことが判明した。
- フライアッシュの導入により脆性トラップが緩和され、準延性破壊モードへの転換が確認された。
- NS+FAハイブリッド(Mix-5)は破壊エネルギーGfを107%増加、特性長さlchを約50%増加させた。
本研究成果は、シリカフューム・ナノシリカ・フライアッシュの3成分を組み合わせたバインダー設計により、コンクリートの高強度化に伴う脆性化というトレードオフを克服できる可能性を示している。建設材料分野ではインフラの長寿命化・維持コスト低減が課題であり、本技術が実用化されれば高耐久コンクリート市場での競争力強化につながる。ただし現状は実験室レベルの知見であり、実構造物への適用・コスト評価・スケーラビリティの確認が必要であり、短期的な投資インパクトは限定的と見る。