RFチェーンを削減したマイクロ波電力伝送用マルチビームハイブリッドビームフォーミングシステム
Multibeam Hybrid Beamforming System with Reduced RF Chains for Microwave Power Transfer
本論文は、マイクロ波電力伝送(MPT)のためのマルチビームハイブリッドビームフォーミング(MHBF)アーキテクチャを提案する。このアーキテクチャは、RFチェーンの数を削減しながら、複数の受信機への無線電力供給を可能にする。提案手法は、ビーム制御を水平・垂直次元に分離し、水平マルチビームはベースバンドでデジタルプリコーディングにより生成され、垂直ビーム方向はButlerマトリックスベースのアナログビームフォーマーによって制御される。マルチビーム伝送は、各トーンに異なる位相重みを割り当てたマルチトーン信号を用いて実現され、ビームを異なる方向にステアリングできる。5.8 GHzのプロトタイプが設計・製造され、実験結果は、30.57 dBmの送信電力下で3ビームおよび4ビーム動作を示した。単一ビームの場合、1mの距離で平均受信RF電力は12.11 dBmであった。3ビームおよび4ビームの場合、ビームあたりの平均受信RF電力はそれぞれ7.3 dBmおよび6.1 dBmであった。RF-DC変換測定では、3ビームおよび4ビームの場合で、それぞれ最大38.77%および35.05%のPCE値が示された。これらの結果は、同時マルチビーム無線電力伝送の実現可能性と、RFチェーン要件を削減したマルチ受信機動作のための効果的なソリューションとしての可能性を確認するものである。
- 5.8GHz帯で動作するマルチビームハイブリッドビームフォーミング(MHBF)のプロトタイプが設計・製造された
- プロトタイプ実験で3ビームおよび4ビーム動作を確認、単一ビーム時は1m距離で平均受信RF電力12.11dBmを達成
- マルチビーム動作時のRF-DC変換効率(PCE)は3ビームで最大38.77%、4ビームで最大35.05%
本論文は、マイクロ波無線電力伝送(MPT)においてRFチェーン数を削減しながらマルチビーム給電を可能にするハイブリッドビームフォーミングアーキテクチャを提案・実証したもの。5.8GHzの試作機で3~4ビームの同時給電を確認し、RF-DC変換効率も35~39%と実用的な水準を示した。無線給電はドローン、IoTセンサー、EV充電など幅広い応用が期待される技術であり、RFチェーン削減による低コスト化・省電力化は商用化への重要なマイルストーン。ただし今回は学術論文の段階であり、製品化や企業関与の記載はなく、直ちに特定企業の投資判断に結びつく材料ではない。研究の進捗状況としてウォッチ対象と位置づけるのが適切。