チタン基板上に高配向(001)PZT厚膜における大きな横圧電性
Large Transverse Piezoelectricity in Highly (001)-Oriented PZT Thick Films on Titanium Substrates
柔軟な圧電デバイス向けに、チタン基板上に配向性の高いPZT(ジルコン酸チタン酸鉛)厚膜(~1.3 μm)を成膜する手法が開発された。この手法では、400°CでのRFマグネトロンスパッタリングと640°Cでの2.5分間の急速熱処理が用いられる。LaNiO3(LNO)バッファー層を導入することで、ペロブスカイト相の核生成を促進し、界面の劣化を抑制する。結果として得られたLNO/Pt/Ti基板上のPZT膜は、強い(001)配向性と高密度な微細構造を示した。この膜は、大きな残留分極Pr (~61 μC cm−2)、低い保磁界Ec (~56 kV cm−1)、高い誘電率εr (~1350–1612)、低い誘電損失tanδ (≤ 0.06) を示した。作製されたPt/PZT/LNO/Pt/Tiカンチレバーは、〜−6.7 C/m2の横圧電係数e31,fを示し、従来のチタン基板上の圧電膜を大幅に上回った。この技術は、反応性の高い金属基板上に高配向PZT膜を形成する実用的な方法であり、柔軟な圧電MEMSデバイスへの応用が期待される。
- チタン基板上に高配向(001)PZT厚膜を成膜する手法が開発され、従来比で大きな横圧電係数を実証
本成果はチタン基板上に高配向PZT厚膜を形成するプロセス技術の実証であり、柔軟な圧電MEMSデバイスの実用化に繋がるブレークスルーと言える。従来のシリコン基板と異なり金属基板を直接用いることで、フレキシブルデバイスやウェアラブル、ヘルスモニタリング向けの圧電センサ・アクチュエータの量産性が大幅に向上する可能性がある。ただし、現段階では実験室レベルの性能評価(e31,f = −6.7 C/m2)であり、量産技術や長期信頼性の検証は未報告である点に注意が必要。投資家としては、当該技術のライセンス元や共同開発先となる可能性のある圧電材料・MEMS関連企業(例:村田製作所、TDK、ロームなど)の研究開発パイプラインとして注視すべき。