高温下での AlCrMoTaTi および AlCrNbTaTi 合金の酸化・硫化耐性
Oxidation and Sulfidation Resistance of Hot-Pressed AlCrMoTaTi and AlCrNbTaTi Alloys at High Temperatures
高温下で酸素と硫黄の両方の攻撃に耐性のある金属材料が求められている。従来の耐酸化材料は硫黄存在下で急速に劣化し、耐硫化材料は酸素雰囲気下での使用が困難であった。本研究では、高価な溶解プロセスを回避するため、ホットプレス法を用いて AlCrMoTaTi および AlCrNbTaTi という高エントロピー合金を製造した。これらの合金の耐性を、800~1000°Cの温度範囲で酸素および硫黄蒸気を含む雰囲気中で熱重量測定により評価した。結果として、これらの合金は均質ではないものの、高い耐性を示すことが明らかになった。一般的に、両合金は放物線則に従って反応し、AlCrMoTaTi 合金は AlCrNbTaTi 合金よりも高い耐性を示した。これらの合金は、固体材料としてだけでなく、プラズマ溶射などで製造されるコーティングとしても利用できる可能性がある。
- ホットプレス法を用いてAlCrMoTaTiおよびAlCrNbTaTiの高エントロピー合金を製造し、800~1000°Cでの酸化・硫化耐性を評価した
本記事は、高温・過酷環境下(酸素・硫黄共存雰囲気)で耐性を持つ高エントロピー合金(AlCrMoTaTi, AlCrNbTaTi)を、低コストなホットプレス法で製造し、800~1000°Cでの耐酸化・耐硫化性を実証した研究である。従来材料では酸素か硫黄のどちらかにしか対応できなかった中で、両方に耐性を示す点、またプラズマ溶射コーティングとしての応用可能性にも言及されており、超高温発電所や化学プラント、航空宇宙エンジンなど過酷環境向け材料として産業応用のシーズとなりうる。ただし現時点ではラボスケールの評価であり、均質性の課題や実用化にはさらなる検証が必要。材料分野の基礎研究段階の成果として、中長期的な材料ポートフォリオの多様化という観点で注目に値する。