レンギョウ属におけるNHX遺伝子ファミリーのゲノムワイド同定と、塩・乾燥ストレス応答に関与する候補としてのFsNHX3およびFsNHX6の特定
Genome‑wide identification of the NHX gene family in Forsythia identifies FsNHX3 and FsNHX6 as potential candidates involved in abiotic stress responses
レンギョウ属(Forsythia)3種(F. suspensa, F. viridissima, F. ovata)において、Na+/H+アンチポーター(NHX)遺伝子ファミリーのゲノムワイド同定と系統解析が行われた。合計18個のNHXメンバーが同定され、系統解析に基づき3つのサブクラス(液胞膜局在の「Vac」クラス12個、原形質膜局在の「PM」クラス4個、エンドソーム系局在の「Endo」クラス2個)に分類された。相同性解析により、レンギョウ属とシモツケ属の間でNHX遺伝子ファミリーの相同性が最も高いことが示された。F. suspensaのNHX遺伝子ファミリーの発現解析では、塩、乾燥(PEG模擬)、およびアブシシン酸(ABA)処理に対する組織特異的な応答が明らかになった。特に、FsNHX3とFsNHX6は3つのストレス処理すべてにおいて最も顕著かつ持続的な転写上昇を示し、ストレス応答への関与が示唆された。これらの発見は、レンギョウ属におけるNHX遺伝子ファミリーの機能解明や、塩・乾燥耐性を持つレンギョウ品種の育種に向けた遺伝子資源として有用である。
- レンギョウ属3種(F. suspensa, F. viridissima, F. ovata)でNHX遺伝子ファミリー計18個をゲノムワイドに同定し、Vacクラス12個・PMクラス4個・Endoクラス2個に分類した
- FsNHX3とFsNHX6は塩・乾燥(PEG模擬)・アブシシン酸(ABA)の3処理すべてで最も顕著かつ持続的な転写上昇を示し、ストレス応答への関与が示唆された
- レンギョウ属とシモツケ属の間でNHX遺伝子ファミリーの相同性が最も高いことが示された
レンギョウ属3種でNHX遺伝子ファミリー18個をゲノムワイドに同定し、塩・乾燥・ABA処理で持続的発現上昇を示すFsNHX3/FsNHX6を候補として特定した基礎研究。作物の耐塩・耐乾性育種に応用可能な遺伝子資源の候補を提示した点は、気候変動下の農業バイオ領域におけるゲノム編集・育種企業の将来的なライセンス/形質開発の観点で注目に値する。ただし現時点では商業化・提携・規制などの具体的な投資事象はなく、投資判断への直接的な影響は限定的。