NdCl3によるイオン欠陥の相乗的制御で高効率・高安定な広帯域ペロブスカイト太陽電池を実現
Synergistic Regulation of Ionic Defects Enabled by NdCl3 for Efficient and Stable Wide-Bandgap Perovskite Solar Cells
広帯域ペロブスカイト太陽電池のトップセル吸収体として期待されるCs0.17FA0.83PbI1.8Br1.2にNdCl3を添加し、イオン欠陥を相乗的に制御する手法が開発された。Nd3+イオンが格子間サイトに優先的に取り込まれ、周囲のハロゲン化物イオンの移動を抑制する。また、Cl-イオンがハロゲン化物空孔を補償し、トラップ支援型の非放射再結合を抑制する。これにより、欠陥密度が低減し、キャリア輸送が促進され、界面エネルギー準位の整合性が向上した。結果として、NdCl3修飾デバイスは19.87%の最高電力変換効率を達成し、未封止のまま1680時間(約25°C、相対湿度約20%)の環境下で初期効率の92.5%を維持した。
- 広帯域ペロブスカイト吸収体Cs0.17FA0.83PbI1.8Br1.2にNdCl3を添加し、イオン欠陥を相乗的に制御する手法が開発された。
- Nd3+イオンが格子間サイトに優先的に取り込まれてハロゲン化物イオンの移動を抑制し、Cl-イオンがハロゲン化物空孔を補償してトラップ支援型非放射再結合を抑える機構が示された。
- NdCl3修飾デバイスが19.87%の最高電力変換効率を達成した。
- 未封止のまま約25°C・相対湿度約20%環境で1680時間後も初期効率の92.5%を維持した。
広帯域ペロブスカイト太陽電池のトップセルは、タンデム化による変換効率の上限引き上げと、実用化の最大の壁である長期安定性の両方を左右する要素で、投資上は「効率」と「耐久性」を同時に改善できる材料プロセスが出てくるかが焦点になる。今回はNdCl3という添加剤一つでイオン欠陥を制御し、19.87%かつ未封止1680時間で初期効率92.5%維持という数字を示した点が重要で、添加剤・前駆体といった低コストな周辺材料に付加価値が移る可能性を示唆する。一方で未封止・実験室レベルの小面積セルでの結果であり、大面積化・封止・量産プロセスへの展開や、タンデム実装時の再現性が確認できるまでは、材料サプライヤーや成膜装置への実需寄与は限定的と見るべきだろう。