ガスエンジン発電所の100%水素燃料供給系改造の流体力学的制約と安全への影響:統合評価
Hydrodynamic Constraints and Safety Implications of a 100% Hydrogen Fuel-Supply Train Retrofit for a Gas-Engine Power Plant: An Integrated Assessment
本研究は、既存の天然ガス発電所を水素燃料用に改造する際の、エネルギー等価燃料置換による流体負荷と事故影響の変化を評価する。8.11MWのガスエンジン発電所を対象に、100%水素燃料供給系の改造を想定し、流体計算、CFD、ハザード分析(HAZOP)、保護層分析(LOPA)を統合して評価した。エネルギー等価の仮定では、必要燃料流量は天然ガスの1842.6 Nm3/hから水素の6115.6 Nm3/hに増加した。既存の80A配管では流速が26.9 m/sから89.3 m/sに増加したが、150Aへの拡大により水素流速は22.8 m/s、摩擦圧力損失は0.11 kPa/10mに低減した。HAZOPとLOPAは、残存シナリオを特定し、保護層を評価した結果、計算された緩和頻度は採用された仮定の下でプロジェクト固有のスクリーニング目標である1.0 × 10−5 yr−1を下回った。これらの結果は、水素燃料供給系の改造には、単純な燃料置換ではなく、燃料需要、配管流体力学、影響特性、リスク管理策の統合的評価が必要であることを示唆している。
- 8.11MWガスエンジン発電所を対象に、100%水素燃料供給系への改造を想定し、流体計算・CFD・HAZOP・LOPAを統合した評価を実施した。
- エネルギー等価の仮定下で必要燃料流量は天然ガス1842.6 Nm3/hから水素6115.6 Nm3/hへ増加し、既存80A配管では流速が26.9 m/sから89.3 m/sに上昇する。
- 配管を150Aへ拡大することで水素流速は22.8 m/s、摩擦圧力損失は0.11 kPa/10mに低減できる。
- HAZOPとLOPAによる保護層評価の結果、計算された緩和頻度はプロジェクト固有のスクリーニング目標1.0×10−5 yr−1を下回った。
- 水素転換には単純な燃料置換ではなく、燃料需要・配管流体力学・影響特性・リスク管理策の統合的評価が必要と結論づけている。
既存の天然ガス発電設備を100%水素焚きへ改造する際の、燃料流量増加(1842.6→6115.6 Nm3/h)と配管流速上昇(80Aで26.9→89.3 m/s)という物理的制約を定量的に示し、150Aへの増径で流速22.8 m/s・摩擦圧力損失0.11 kPa/10mまで低減できることを明らかにした点が重要。HAZOP/LOPAを統合し緩和後の頻度が1.0×10−5 yr−1を下回ることを確認しているため、水素転換の投資判断では「燃料置換」ではなく配管・安全系を含む設備改修コストと許認可対応が実質的なボトルネックになることを示唆する。水素専焼を掲げるガスエンジン/発電事業者の設備投資計画や改造案件の妥当性評価に直接使える材料。