最適化されたツリーベースモデルと統計的検証による、浸炭・非浸炭エンジニアリング鋼のデータ駆動型摩耗予測の説明可能な機械学習
Explainable Machine Learning with Optimized Tree-Based Models and Statistical Validation for Data-Driven Wear Prediction of Carburized and Non-Carburized Engineering Steels
本研究では、浸炭および非浸炭エンジニアリング鋼の摩耗挙動を予測するためのデータ駆動型フレームワークを提案する。決定木(DT)、ランダムフォレスト(RF)、および物理情報付きニューラルネットワーク(PINN)の3つのモデルを比較評価した。DTとRFモデルでは、GridSearchCVと5分割交差検証を用いてハイパーパラメータ最適化を行った。モデル性能は、RMSE、MAE、決定係数(R2)で評価された。ランダムフォレストモデルは、RMSE = 0.00495、MAE = 0.00273、R2 = 0.7244で最も高い予測性能を示し、次いで決定木モデルがRMSE = 0.00565、MAE = 0.00275、R2 = 0.6406であった。一方、PINNモデルは、RMSE = 0.15872、MAE = 0.12599、R2 = -282.62と著しく低い性能を示した。SHAP分析により、表面状態、材料タイプ、すべり時間、および負荷・時間相互作用が摩耗挙動を支配する最も影響力のあるパラメータであることが特定された。最適化されたツリーベースの機械学習モデル、特にランダムフォレストモデルは、調査対象の鋼材の摩耗推定に対して、正確で解釈可能、かつ計算効率の高い予測を提供することが示された。
- 浸炭・非浸炭エンジニアリング鋼の摩耗挙動予測で、ランダムフォレストがRMSE 0.00495、MAE 0.00273、R2 0.7244と最高精度を示した
- 物理情報付きニューラルネットワーク(PINN)はR2 -282.62と著しく低い性能に終わり、同タスクでの有効性が示されなかった
- SHAP分析で、表面状態・材料タイプ・すべり時間・負荷と時間の相互作用が摩耗挙動を支配する主要パラメータと特定された
浸炭・非浸炭エンジニアリング鋼の摩耗予測という材料特性評価に、機械学習(ランダムフォレスト+SHAP)を適用した研究。R2=0.72程度と精度は限定的だが、摩耗という実験コストの高い特性をデータ駆動で推定できる方向性は、素材メーカーや機械部品メーカーの開発サイクル短縮・MI(マテリアルズ・インフォマティクス)投資の妥当性を裏付ける。一方でPINNがR2=-282と破綻している点は、物理情報モデルの適用難易度を示す。大学発の基礎研究段階であり、直接の投資対象は現状見当たらない。