58Ah NCM811リチウムイオン電池の熱暴走時の固体噴出物形態と元素組成:近傍の熱流挙動の代表例
Solid-Ejecta Morphology and Elemental Composition During Thermal Runaway of 58 Ah NCM811 Lithium-Ion Cells: Representative Near-Field Thermal-Flow Behavior
58Ah NCM811リチウムイオン電池3回の熱暴走試験で回収された固体噴出物をSEMとEDSで分析した。SEM観察では、不規則な破片、層状構造、凝集体、微粒子堆積物など、形態的な不均一性が顕著であった。局所的なEDS領域では、Ni、Mn、Coが元素信号の54.61 wt.%を占め、他にC、O、Fも含まれていた。一方、二次元反応ジェットモデルを用いて、高強度噴出条件下での近傍熱流挙動をシミュレーションした。モデルでは、CO2-CO-H2-O2混合気、開口幅12.5mm、入口速度90m/s、入口温度941.2°Cとした。計算結果では、開口部付近で最大速度約104m/s、下流で最大温度約1806°Cが観測された。これらの結果は、リチウムイオン電池の熱暴走後の固体噴出物の特性と、それに伴う近傍の熱流挙動に関する補完的な知見を提供する。
- 58Ah NCM811リチウムイオン電池を用いた3回の熱暴走試験で回収した固体噴出物をSEMとEDSで分析し、不規則な破片・層状構造・凝集体・微粒子堆積物といった形態的不均一性を確認。
- 局所のEDS領域でNi・Mn・Coが元素信号の54.61 wt.%を占め、C・O・Fも検出された。
- 二次元反応ジェットモデルで高強度噴出条件下の近傍熱流挙動をシミュレーション(CO2-CO-H2-O2混合気、開口幅12.5mm、入口速度90m/s、入口温度941.2°C)。
- 計算結果は開口部付近で最大速度約104m/s、下流で最大温度約1806°Cを示した。
NCM811(高ニッケル三元系)電池の熱暴走時に放出される固体噴出物の形態・元素組成と、近傍の熱流挙動を実測+シミュレーションで定量化した研究。EV・蓄電池の安全設計(パック内ベント経路、熱伝播対策、ガス・噴出物の評価基準)に直結する基礎データであり、規制強化やリコールリスク評価の観点から電池メーカー・自動車メーカーの技術力差を見極める材料になる。数値(Ni/Mn/Coで54.61wt.%、開口幅12.5mm、入口90m/s、941.2°C、最大速度約104m/s、最高約1806°C)は熱暴走時の条件設定として注目。