融点近傍のシリコンにおける応力誘起非晶質化と転位介在塑性:分子動力学シミュレーションによる研究
Stress-Assisted Amorphization and Dislocation-Mediated Plasticity in Silicon near Its Melting Point: A Molecular Dynamics Study
融点近傍(T/Tm = 0.88)のシリコン結晶の変形挙動を分子動力学シミュレーションで調査した。圧縮応力は降伏前に結晶全体に均一な非晶質化を誘起し、臨界応力を超えるとShockley部分転位が{111}結晶面で核生成して塑性流動を開始する。応力緩和中に非晶質相は再結晶する。高温でのシリコンの塑性は、応力誘起非晶質化と転位介在塑性が競合するのではなく、逐次的に発生することが示された。この結果は、多結晶シリコンの定向凝固成長における転位欠陥抑制のためのプロセス指針を統合する原子スケールの根拠を提供する。
- 融点近傍(T/Tm=0.88)のシリコン結晶の変形挙動を分子動力学シミュレーションで解析し、圧縮応力が降伏前に結晶全体の均一な非晶質化を誘起することを示した。
- 臨界応力を超えるとShockley部分転位が{111}結晶面で核生成して塑性流動が始まり、応力緩和中に非晶質相が再結晶するという逐次的なメカニズムを明らかにした。
- 高温でのシリコンの塑性は、応力誘起非晶質化と転位介在塑性が競合するのではなく逐次的に発生することが示された。
- この結果は多結晶シリコンの定向凝固成長における転位欠陥抑制のためのプロセス指針に原子スケールの根拠を与える。
分子動力学シミュレーションによる基礎研究であり、直接の企業業績や資本配分への影響は現時点で乏しい。ただし、融点近傍のシリコンで「応力誘起非晶質化→部分転位の核生成→応力緩和中の再結晶」という逐次プロセスを原子スケールで示した点は、多結晶シリコン製造、特に定向凝固成長における転位欠陥抑制のプロセス指針につながる可能性がある。半導体材料・ウェハ/太陽電池向けシリコン製造プロセスの歩留まり改善に効いてくるテーマとして、中長期の材料・製造装置関連の技術動向チェック材料として押さえておきたい。