マルチレーザー粉末床溶融造形TC11チタン合金構造における熱履歴媒介の欠陥・微細構造・特性進化
Thermal-History-Mediated Defect–Microstructure–Property Evolution in Multi-Laser Powder Bed Fusion of TC11 Titanium Alloy Structures
TC11チタン合金(Ti-6.5Al-3.5Mo-1.5Zr-0.3Si)のアーチ構造を、レーザーパワー、走査速度、オーバーラップゾーン位置、層間回転角を変化させてマルチレーザー粉末床溶融造形(PBF-ML)で製造した。レーザーパワーを170Wから290Wに増加させると、降伏強度(YS)と引張強度(UTS)はそれぞれ955MPa、1228MPaから1259MPa、1463MPaに増加したが、伸び(EL)は14.7%から3.1%に減少した。走査速度を1050mm/sから1450mm/sに増加させると、強度と延性の傾向は逆転した。オーバーラップゾーン位置の影響は限定的であり、67°の層間回転は中程度の改善をもたらした。欠陥数と面積分率は必ずしも同期して変動せず、半定量的なSEM分析により、レーザーパワーの増加に伴う微細構造の粗大化と、走査速度の増加に伴う微細化が明らかになった。グローバルな熱入力変数は強度・延性および微細構造スケールの応答を主に制御し、ローカルな熱経路変数は主に空間的な欠陥と微細構造の不均一性を調整することが示された。
- TC11チタン合金(Ti-6.5Al-3.5Mo-1.5Zr-0.3Si)のアーチ構造をマルチレーザー粉末床溶融造形(PBF-ML)で製造し、熱履歴が欠陥・微細構造・機械的特性に与える影響を検証した。
- レーザーパワーを170Wから290Wへ増やすと、降伏強度は955MPaから1259MPa、引張強度は1228MPaから1463MPaに上昇した一方、伸びは14.7%から3.1%へ低下した。
- 走査速度を1050mm/sから1450mm/sへ上げると強度と延性の傾向が逆転し、レーザーパワー増加では微細構造が粗大化、走査速度増加では微細化した。
- オーバーラップゾーン位置の影響は限定的で、67°の層間回転は中程度の改善をもたらした。欠陥数と面積分率は必ずしも同期して変動しなかった。
- グローバルな熱入力変数が強度・延性および微細構造スケールの応答を主に制御し、ローカルな熱経路変数が空間的な欠陥と微細構造の不均一性を調整することが示された。
TC11チタン合金のマルチレーザーPBF造形において、レーザーパワー増加でUTSが1228→1463MPaへ向上する一方、伸びが14.7%→3.1%へ急減するという明確な強度・延性トレードオフを定量化した点が重要です。グローバルな熱入力変数が強度と微細構造スケールを、ローカルな熱経路変数が欠陥・不均一性を支配するという切り分けは、航空宇宙向け金属AMのプロセス制御・品質保証の設計指針になり得ます。欠陥数と面積分率が同期しない点は、材料評価指標の限界を示すもので、AM装置・粉末・後処理サプライヤーの差別化要因を評価する際の注目点です。