偏光無依存の複屈折補償型誘導ブリルアン散乱フィルター
Polarization-insensitive stimulated Brillouin scattering filter with birefringence compensation
誘導ブリルアン散乱(SBS)ベースの光フィルターは、ファイバーの複屈折や環境変動による偏光依存の利得変動という課題を抱えていた。本研究では、ファラデー効果による偏光解消と、ファラデー回転子ミラー(FRM)統合型マッハツェンダー干渉計(MZI)で生成されたデュアル直交偏光ポンプを用いた偏光無依存SBSフィルターアーキテクチャを提案・実証した。この設計は、能動的または複雑な偏光状態制御を必要とせずに、偏光変動をパッシブに補償する。実験により、ブリルアン利得変動を±3%未満に抑制し、任意の入力偏光に対して波長非依存の動作を実現した。さらに、2段SBS構成を用いた光スペクトル分析(OSA)でフィルターの汎用性を示し、80dBのダイナミックレンジ、±0.3pmの波長精度、±2.4dBから±0.2dBへの電力精度向上を達成した。これにより、光通信、センシング、光ニューラルネットワークなどの分野で、ロバストで偏光無依存な動作が可能になる。
- ファラデー効果による偏光解消と、ファラデー回転子ミラー(FRM)統合型マッハツェンダー干渉計(MZI)で生成したデュアル直交偏光ポンプを組み合わせ、能動的・複雑な偏光制御を要さず偏光変動をパッシブに補償するSBSフィルターアーキテクチャを提案・実証した。
- 実験でブリルアン利得変動を±3%未満に抑制し、任意の入力偏光に対して波長非依存の動作を実現した。
- 2段SBS構成の光スペクトル分析(OSA)で80dBのダイナミックレンジ、±0.3pmの波長精度、電力精度の±2.4dBから±0.2dBへの向上を達成した。
光ファイバー通信の基盤部品である光フィルターの偏光依存性を、能動制御なしでパッシブに補償できる点が実用上大きい。ブリルアン利得変動を±3%未満に抑え、2段SBS構成のOSAで80dBダイナミックレンジ・±0.3pm波長精度・電力精度を±2.4dBから±0.2dBへ改善したという定量成果は、光通信・光センシング・光ニューラルネットワーク向け部品の信頼性向上に直結する。ただし現時点では実験実証段階であり、商用化・量産・コストの道筋が示されていないため、投資判断には事業化主体やライセンス動向の確認が待たれる。