ポリマー/カーボン質ナノコンポジットの実効熱伝導率に関する実験的研究とモデルシミュレーション
Experimental Study and Model Simulation of the Effective Thermal Conductivity of Polymer/Carbonaceous Nanocomposites
ポリマー/カーボン質ナノコンポジットの熱伝導率向上は、ポリマー/ナノフィラー相互作用、分散品質、凝集塊形成などの要因に影響される興味深い研究テーマである。本研究では、2種類の線状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびポリ乳酸(PLA)をベースとし、カーボンナノチューブ(CNT)またはCNT/カーボンナノファイバー(CNF)と酸化グラフェン(GO)の組み合わせで補強された様々なナノコンポジットを調査した。モノフィラーおよびハイブリッドナノコンポジットの熱拡散率の結果を、ナノフィラーの様々な充填量で分析した。さらに、既存のモデルを用いて、モノフィラーおよびハイブリッドナノコンポジットの実験データから熱伝導率をシミュレーションした。モデルパラメータの値を用いて、熱伝導率増加のメカニズム、CNTの役割、ハイブリッドナノコンポジットの相乗効果を探求した。
- LLDPE(線状低密度ポリエチレン)とPLA(ポリ乳酸)をベースに、CNT単独またはCNT/CNF+酸化グラフェン(GO)のハイブリッドで補強したナノコンポジットを対象に、フィラー充填量を変えて熱拡散率を測定した実験研究。
- 既存モデルに実験データを適用してモノフィラーおよびハイブリッドナノコンポジットの熱伝導率をシミュレーションし、CNTの役割とハイブリッド系の相乗効果のメカニズムを解析した。
ポリマー/カーボンナノコンポジットの熱伝導率を扱った学術研究で、特定企業の発表や数値目標・商用化計画は含まれないため、直接の投資トリガーは乏しい。ただし、LLDPE・PLA といった汎用樹脂に CNT/CNF/酸化グラフェンをハイブリッド配合して熱拡散率を高める手法と、既存モデルによる熱伝導率シミュレーションは、5G/EV 向け熱マネジメント材料(放熱シート、樹脂ヒートシンク、電子実装材料)の設計指針になり得る。材料メーカーやコンパウンド企業の熱伝導フィラー戦略を評価する際の技術的ベースラインとして参照価値がある。