原子力エネルギーの移行期:NUCインデックスの収益はエネルギー商品ベンチマークよりもAI関連株式により強く関連しているか?
Nuclear Energy in Transition: Are NUC Index Returns More Strongly Associated with AI-Related Equities than with an Energy Commodity Benchmark?
人工知能(AI)とデジタルインフラによる電力需要の増加が、安定した電源として原子力エネルギーへの注目を集めている。本稿では、公開されている小型モジュール炉(SMR)企業の株価収益率が、AI関連株式ベンチマークとエネルギー商品ベンチマークのどちらにより強く関連しているかを調査する。SMRインデックスが存在しないため、Oklo Inc.、NuScale Power Corporation、NANO Nuclear Energy Inc.の時価総額加重合成NUCインデックスを2024年7月1日から2026年7月1日まで構築した。AI関連株式ベンチマークとしてGlobal X Artificial Intelligence & Technology ETF(AIQ)、エネルギー商品ベンチマークとしてS&P GSCI Energy Spot Indexを使用した。501日間の日次対数収益率に基づき、相関分析と回帰分析で関係性を検証した結果、NUCは166.80%上昇し、AIQは77.79%、エネルギーベンチマークは-7.68%となった。AIQとの相関は0.510(p < 0.001)、エネルギーベンチマークとの相関は-0.059(p = 0.186)であり、標準化係数はそれぞれ0.509と-0.046で、有意に異なった(片側p < 0.001)。
- Oklo・NuScale Power・NANO Nuclear Energyの3社による時価総額加重の合成NUCインデックスを2024年7月1日〜2026年7月1日で構築し、501日分の日次対数収益率で検証した(SMR単独インデックスが存在しないため)
- NUC指数は期間中166.80%上昇し、AI関連ベンチマーク(AIQ)の77.79%、エネルギー商品ベンチマークの-7.68%を大きく上回った
- NUCとAIQの相関は0.510(p<0.001)と有意、エネルギー商品ベンチマークとの相関は-0.059(p=0.186)で非有意。標準化係数も0.509対-0.046と有意に異なり、SMR株はエネルギー商品ではなくAI関連株に連動している
SMR3社の合成株価指数が期間中166.80%上昇し、AI関連ETF(AIQ)との相関0.510(有意)に対しエネルギー商品とは無相関(-0.059)だった点は、原子力/SMR銘柄が「電力需要」ではなく「AIテーマ」で売買されていることを示す。つまりSMR投資家はAI相場の調整に巻き込まれるリスクを負う一方、AI需要拡大の恩恵を取り込むルートとして機能している。ただし著者自身が構築した時価総額加重の合成指数(実在しないインデックス)でn=3と標本が極小、期間も2024年7月以降に限られ、相関の解釈には統計的・構造的な限界がある点に留意が必要。投資判断では、SMR純粋企業のバリュエーションがAIセンチメントに連動している前提で、ヘッジや分散効果を過大評価しないことが重要。