MMC-HVDC変換器バルブの高周波過渡過電圧解析のためのマルチスケール広帯域モデル
High-Frequency Transient Overvoltage Analysis of MMC-HVDC Converter Valves Based on a Multi-Scale Wideband Model
外部からの急峻な過渡過電圧は、モジュラーマルチレベルコンバータ(MMC)ベースの高電圧直流(HVDC)システムに高周波電磁擾乱をもたらし、変換器バルブおよびサブモジュールに過渡電圧ストレスを増加させる可能性がある。本論文では、「サブモジュール–変換器バルブ–変換器ステーション」の階層をカバーするマルチスケール広帯域等価モデルを用いて、MMC変換器バルブにおける外部高周波擾乱の伝播、結合、および過渡電圧分布特性を調査する。4.5 kV/3 kAのプレスパックIGBTベースのサブモジュールの広帯域等価モデルが開発され、バルブタワーの分布寄生パラメータおよび変換器ステーションコンポーネントの高周波特性と統合される。代表的な雷インパルスと制御された高速フロントインパルスが、異なる過渡条件下での変換器バルブの応答を調査するために使用される。シミュレーション結果は、外部過渡擾乱が接地寄生容量と分布結合経路を通じてMMC変換器バルブに伝播し、サブモジュール端子に追加の差動モード過渡電圧ストレスを引き起こすことを示している。擾乱源に近いサブモジュールほど、より高い過渡電圧ピークと大きなdv/dt値を経験する。さらに、バルブタワー内で複数の局所共振帯が特定され、10 MHzを超える高周波振動成分は分布寄生ネットワークによって強く影響される。パラメータ解析は、サブモジュール浮遊インダクタンスが誘起過渡電圧の大きさおよび振動特性に重要な影響を与えることを示唆している。提案されたマルチスケールモデリングアプローチは、MMC-HVDC変換器バルブの高周波過渡電圧ストレスを評価するための実用的な方法を提供し、絶縁協調、変換器バルブ構造最適化、およびHVDC送電システムの過渡信頼性設計に理論的サポートを提供する。
- MMC-HVDC変換器バルブの高周波過渡過電圧解析に向け、サブモジュール・変換器バルブ・変換器ステーションの3階層をカバーするマルチスケール広帯域等価モデルを開発・提案。
- 4.5 kV/3 kAのプレスパックIGBTベースのサブモジュール広帯域等価モデルを構築し、バルブタワーの分布寄生パラメータや変換器ステーションの高周波特性と統合。
- 雷インパルスと制御高速フロントインパルスを用いた解析で、外部過渡擾乱が接地寄生容量と分布結合経路を通じて伝播し、サブモジュール端子に差動モード過渡電圧ストレスを生じさせることを確認。擾乱源に近いサブモジュールほど高い過渡電圧ピークと大きなdv/dtを示す。
- バルブタワー内で複数の局所共振帯を特定し、10 MHz超の高周波振動成分が分布寄生ネットワークの影響を強く受けることを示した。またサブモジュール浮遊インダクタンスが誘起過渡電圧の大きさと振動特性に重要な影響を与えると示唆。
MMC-HVDC(高圧直流送電)の変換器バルブにおける雷インパルス等の高周波過渡過電圧を評価するマルチスケール広帯域モデルを提案した学術論文。4.5kV/3kAプレスパックIGBTサブモジュールの等価モデル構築や、10MHz超の共振帯特定、浮遊インダクタンスが過渡電圧に与える影響の分析など、絶縁協調やバルブ構造最適化に直結する知見を示している。HVDC送電設備の信頼性設計・絶縁設計を手掛けるパワーエレクトロニクス企業や送電網機器メーカーにとって、設備故障リスク低減や設計コスト最適化につながる技術的裏付けとなり得る点に注目。ただし具体的な製品化・受注・規制決定などの事象は含まれず、投資アクションに直結する材料としては限定的。