水中環境におけるZr60702のレーザー再溶融が微細構造と耐摩耗性に及ぼす影響
Effect of Laser Remelting on Microstructure and Wear Resistance of Zr60702 in an Underwater Environment
本研究では、ジルコニウム合金のレーザー再溶融挙動に対する水中環境の影響を調査するため、市販のZr60702を同一の処理パラメータで空気中および水中でレーザー表面再溶融した。水中環境では、熱抽出の増大と有効レーザーエネルギー入力の減少により、最大再溶融深さは空気中の507.08μmから191.35μmに減少した。再溶融サンプルは室温でα-Zrが主成分であったが、水中再溶融ではより微細な針状α′-Zrと洗練されたウィドマンシュテッテン構造が生成された。水中および空気中再溶融サンプルの最大硬度はそれぞれ636.7 HVと546.5 HVに達し、母材の198.3 HVと比較して大幅に向上した。母材、空気中再溶融サンプル、水中再溶融サンプルの摩耗体積はそれぞれ7.04×107、6.77×107、5.66×107 μm3であった。水中再溶融サンプルの耐摩耗性の向上は、微細構造の洗練と硬度の上昇に起因し、摺動中の塑性変形と引きずりを抑制した。これらの結果は、水中レーザー再溶融がZr60702の表面特性を向上させる有望な方法であることを示している。
- 市販ジルコニウム合金Zr60702を同一パラメータで空気中および水中レーザー表面再溶融し、水中環境の影響を比較調査した。
- 最大再溶融深さは空気中の507.08μmから水中では191.35μmに減少し、熱抽出増大と有効レーザーエネルギー入力の低下が示された。
- 水中再溶融ではより微細な針状α′-Zrと洗練されたウィドマンシュテッテン構造が生成された。
- 最大硬度は水中636.7 HV、空気中546.5 HVで、母材198.3 HVから大幅に向上した。
- 摩耗体積は母材7.04×10^7、空気中6.77×10^7、水中5.66×10^7 μm3で、水中再溶融サンプルの耐摩耗性が最も優れた。
ジルコニウム合金Zr60702の表面改質に関する学術研究で、水中レーザー再溶融により硬度が母材198.3 HVから636.7 HVへ、摩耗体積も約20%低減したという定量的成果は、原子炉被覆管などZr合金部材の長寿命化・耐食/耐摩耗コーティング技術として将来的に産業応用の余地がある。ただし発表主体や企業・量産化計画には言及がなく、現時点では直接の投資対象には結びつきにくい点に留意。