産業廃熱利用による200°C高温ヒートポンプシステムの経済性、環境性、熱力学的分析:フラッシュタンクと蒸気発生器との統合
Economic, Environmental, and Thermodynamic Analysis of a 200 °C High-Temperature Heat Pump System Integrated with a Flash Tank and Steam Generator for Industrial Steam Production Using Waste Heat
本研究は、産業用蒸気生産のため200°Cの高温ヒートポンプシステムを調査した。熱安定性の高い冷媒R1336mzz(Z)を使用し、フラッシュタンク(FT)サイクルと蒸気発生器(SG)サイクルの2つのシステムを比較分析した。内部熱交換器の適用により、運転圧力の低下とヒートポンプの成績係数(COP)が最大13%向上した。FTサイクルでは、バルブ出口温度を180°Cから150°Cに下げるとヒートポンプCOPは最大3.06に達したが、MVR電力の追加によりシステム全体のCOPは2.29~2.44に制限された。SGサイクルでは、システムCOPは1.94~2.54の範囲であった。ライフサイクルコスト(LCC)およびライフサイクル気候影響(LCCP)分析の結果、従来のボイラーをヒートポンプに置き換えることで、地域エネルギー価格に応じて運転コストが26~59%削減され、回収期間は2.27~8.76年となった。ヒートポンプの採用は、ライフサイクル気候影響も13~72%削減した。これらの結果は、高温ヒートポンプが200°Cの産業用蒸気生産において経済的かつ環境的に実行可能な代替手段となり得ることを示している。
- 産業用蒸気生産向け200°C高温ヒートポンプシステムを開発し、フラッシュタンク(FT)サイクルと蒸気発生器(SG)サイクルの2方式を比較分析した
- 内部熱交換器の適用により、運転圧力を低下させつつヒートポンプCOPを最大13%向上させた
- 従来ボイラーを高温ヒートポンプに置き換えることで、運転コストが26〜59%削減され、回収期間は2.27〜8.76年と試算された
- 高温ヒートポンプ採用によりライフサイクル気候影響(LCCP)を13〜72%削減できることを示した
産業用蒸気生成向け200°C高温ヒートポンプは、従来ボイラーと比較して運転コストを26〜59%削減し、ライフサイクル気候影響も13〜72%低減できる点が注目に値する。回収期間2.27〜8.76年という具体的な経済性データは、脱炭素化圧力が高まる産業界での設備投資判断に直結する。R1336mzz(Z)冷媒と内部熱交換器の活用によるCOP向上は、高温ヒートポンプ技術の商用化に向けた技術競争力の指標となる。