組み込みシステムにおけるポスト量子暗号のハードウェア実装可能性の探求:NIST標準化アルゴリズムML-KEM、ML-DSA、SLH-DSAのESP32-C6での評価
Exploring hardware implementation feasibility of post-quantum cryptography in embedded systems: Evaluation of NIST-standardized ML-KEM, ML-DSA and SLH-DSA on ESP32-C6
リソースが制約された組み込みプラットフォームにおける、NIST標準化ポスト量子暗号(PQC)アルゴリズムの実現可能性に関する実用的な懸念が存在する。本研究では、ESP32-C6マイクロコントローラー上で、liboqsライブラリの格子ベース鍵カプセル化メカニズム(ML-KEM)、格子ベースデジタル署名スキーム(ML-DSA)、およびハッシュベースデジタル署名スキーム(SLH-DSA)を評価した。実験の結果、全てのML-KEM、ML-DSA、SLH-DSAパラメータセットは外部メモリなしでESP32-C6上で正常に実行された。ML-KEMはセキュリティレベルに比例して実行時間が増加する安定したメモリ使用量を示した。ML-DSAは鍵生成と署名に高い計算コストがかかるが、検証は比較的効率的であった。SLH-DSAはハッシュベース署名スキーム固有の計算コストを反映し、大幅に高い実行遅延を示した。これらの結果は、パフォーマンスとレイテンシのトレードオフを慎重に考慮すれば、選択されたNIST PQCアルゴリズムが最新の組み込みマイクロコントローラーに展開可能であることを示唆している。
- NIST標準化PQCアルゴリズム(ML-KEM、ML-DSA、SLH-DSA)がESP32-C6マイクロコントローラー上で外部メモリなしで正常に実行できることを実証した
- ML-KEMはセキュリティレベルに比例して実行時間が増加する安定したメモリ使用量を示した
- SLH-DSAはハッシュベース署名スキーム固有の計算コストにより大幅に高い実行遅延を示した
NIST標準化PQCアルゴリズム(ML-KEM、ML-DSA、SLH-DSA)がリソース制約のある組み込みマイクロコントローラー(ESP32-C6)上で外部メモリなしで実行可能であることを実証した点は、PQCの実用展開における重要なマイルストーン。IoT・組み込み市場でのポスト量子移行の実現性を示しており、PQC対応セキュリティチップや組み込みセキュリティソリューションに投資する際の技術的裏付けとなる。