ポルピロール/Cu2−xSe複合材料の電気化学的合成による熱電性能の向上
Electrochemical Synthesis of Polypyrrole/Cu2−xSe Composites for Enhanced Thermoelectric Performance
銅セレニド化合物は優れた熱電材料として期待されるが、柔軟性の低さが課題であった。本研究では、ポルピロール(PPy)とCu2−xSeの逐次的な電気重合・電析により、PPy/Cu2−xSe複合熱電フィルムを製造する単純な全電気化学的手法を開発した。Cu2−xSeの析出電位とポルピロール重合時間を最適化することで、複合フィルムの熱電性能が大幅に向上した。最適化されたPPy/Cu2−xSe複合フィルムは、従来のPPyと比較して約300倍高い174.05 ± 9.87 μW m−1 K−2の最大電力因子を達成し、同時に0.30 W m−1 K−1の低い熱伝導率を維持した。また、1000回の曲げサイクル後も初期電力因子の94.77%を保持する優れた柔軟性を示した。この複合フィルムから組み立てられたフレキシブル熱電デバイスは、ΔT = 50 Kで最大240.5 nWの出力電力を提供した。本研究は、Cu2−xSeベースのフレキシブル熱電複合材料を開発するための効果的な戦略を提供するものである。
- PPy/Cu2−xSe複合熱電フィルムの全電気化学的合成法を開発し、最大電力因子174.05±9.87 μW m−1 K−2を達成(従来PPyの約300倍)
- 1000回の曲げサイクル後も初期電力因子の94.77%を保持する高い柔軟性を実証
- 複合フィルムから組み立てたフレキシブル熱電デバイスがΔT=50Kで最大240.5nWの出力電力を提供
- 複合フィルムは0.30 W m−1 K−1の低い熱伝導率を維持
熱電材料は廃熱発電やウェアラブル電源として注目される領域であり、本研究成果はCu2−xSeとポリピロールの複合化により、機械的柔軟性と高い熱電性能(電力因子174μW m−1 K−2、従来比約300倍)を両立した点で実用化への大きな前進を示す。特に1000回の曲げサイクル後も初期性能の94.77%を維持する柔軟性は、ウェアラブル・IoTセンサー向けエネルギー回収デバイス市場での応用可能性を高める。ただし研究段階の成果であり、量産性・コスト・長期安定性の検証が今後の投資判断の鍵となる。