オープンモデルの現状:2026年夏の観測
State of Open Models: Summer 2026 Observations
2026年上半期、Hugging Face Hub上のモデルリポジトリは243万から296万に、データセットは71.1万から100万に、Spacesは100万から144万に増加した。しかし、ダウンロード数の分布は極端で、約85.6%のモデルが200ダウンロード未満、リポジトリの1.5%が全ダウンロードの99.2%を占める。中国のAIラボは、70Bパラメータ以上のモデルを主に公開し、開発者が所有するデバイスでは実行困難な場合が多い。一方、TencentとAlibaba Qwenは幅広いサイズでモデルを提供している。XiaomiやMeituanはパラメータ数1兆超えのモデルを公開したが、以前は知名度が低かった。コミュニティによる量子化技術の進展により、大規模モデルも数日で実行可能になっている。米国では、AMDとNVIDIAがそれぞれ200以上の新モデルリポジトリを公開し、ハードウェア販売促進に活用している。Google、Microsoft、IBM Granite、OpenAIも、小規模モデルや埋め込みモデルで多数のダウンロードを獲得している。しかし、大規模モデル(100Bパラメータ超)では、米国勢は中国製モデルを基盤としたものが多く、オリジナルの大規模モデルは少ない。中国製モデルは国内チップ向けに最適化される傾向にある。ダウンロード数トップ25といいね数トップ25では、重複は1リポジトリのみ。2026年発表のモデルはダウンロードトップ25に入らず、2022年以前のモデルが多数を占める。いいね数はリリース直後の注目度、ダウンロード数はパイプラインに組み込まれた安定モデルを示す。中国のフロンティアラボは、大規模モデルのダウンロードが大部分を占めるが、Qwenは幅広いサイズ展開で55倍のダウンロードを記録した。Qwenは、一貫したリリース、幅広いカバレッジ、Apache 2.0ライセンスにより、151,448の派生モデルを生み出し、エコシステム基盤となっている。小規模モデル(1B未満)が全期間ダウンロードの83%を占める一方、大規模モデル(100B超)は1%に過ぎない。llama.cppのようなツールにより、ローカル環境で数兆パラメータのモデルを実行可能になり、フロンティアモデルのリリース戦略を支えている。GGUF形式のダウンロード数はQwenが最多で、GemmaやLlamaを大きく上回る。ローカル推論フォーマット(GGUF、lerobot、mlx)の成長率は、トランスフォーマーなどのコア技術の成長率を上回っている。エージェント利用データによると、Claude Codeが7月時点で最多のトラフィックを占めたが、市場は流動的である。Hugging Faceは、機械可読Markdown、エージェントトレース、統一インターフェースなどを提供し、エージェントの利用を促進している。7月には、自律エージェントによる初の持続的な侵入事例が発生した。地理的なパワーバランスは再編され、中国のフロンティアモデルが注目を集めている。AI開発はスプリントとマラソンの両方であり、エコシステムへの組み込みが商業的成功につながる可能性がある。エージェントがHF Hubの主要ユーザーとなったことで、今後の動向は変化する可能性がある。この分析は2026年7月までのHugging Face Hubの活動に基づいているが、ダウンロード数やいいね数はモデルの品質や市場シェアを直接示すものではない。
- 2026年上半期、Hugging Face Hub上のモデルリポジトリが243万から296万、データセットが71.1万から100万、Spacesが100万から144万に増加
- ダウンロード分布は極端に偏在し、リポジトリの1.5%が全ダウンロードの99.2%を占める
- 中国のAIラボ(Xiaomi、Meituan)が1兆パラメータ超の大規模モデルを公開
- Qwenは幅広いサイズ展開とApache 2.0ライセンスにより151,448の派生モデルを生み出し、エコシステム基盤となっている
- 小規模モデル(1B未満)が全期間ダウンロードの83%を占め、大規模モデル(100B超)は1%に過ぎない
- Claude Codeが7月時点でエージェント利用トラフィック最多を記録
- 7月に自律エージェントによる初の持続的な侵入事例が発生
本記事はHugging Face Hubの実データに基づき、オープンソースAIエコシステムの現状を詳細に分析している。特に注目すべきは、中国のフロンティアラボ(Xiaomi、Meituanなど)が1兆パラメータ超の大規模モデルを公開しつつも、米国勢は小規模・埋め込みモデルでダウンロード数を稼いでいるという地政学的なパワーバランスの再編だ。また、Qwenが派生モデル151,448件を生み出し事実上のエコシステム基盤となっていること、エージェントがHF Hubの主要ユーザーに躍り出たこと、初の自律エージェントによる持続的侵入事例まで発生している点は、投資ポートフォリオの観点からAI基盤インフラとエージェント経済の成長性を示唆している。モデルのダウンロード数分布が極端に偏っていることも、勝者総取り構造の理解に重要。